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- 介護支援専門員(ケアマネジャー)の役割を知りたい仕事内容や介護現場での立ち位置、具体的な業務内容を理解したい方
- 資格取得の流れを確認したい受験資格や試験概要、資格取得後のキャリアパスを整理したい方
- 年収や働き方を知りたい介護支援専門員(ケアマネジャー)の収入事情や職場環境、将来性を知りたい方
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介護支援専門員とは
介護支援専門員(ケアマネジャー)とは、高齢者やその家族の相談に応じ、心身の状態を踏まえた介護サービス計画(ケアプラン)を作成・調整する専門職です。
課題の分析や事業者・行政との連携に加え、サービス開始後のモニタリングや必要に応じた計画修正、給付管理業務なども担当します。
介護保険制度の要として位置づけられており、公平・中立性や倫理観が重視されるほか、利用者の自立支援を支える幅広い知識と調整力が求められます。
介護支援専門員(ケアマネジャ-)の定義
介護支援専門員(ケアマネジャー)は、制度上どのように位置づけられているのでしょうか。厚生労働省や介護保険法では、明確な定義が示されています。
まずは公式な記載を確認してみましょう。厚生労働省では以下のように定義されています。
介護支援専門員とは、要介護者や要支援者の人の相談や心身の状況に応じると ともに、サービス(訪問介護、デイサービスなど)を受けられるようにケアプ ラン(介護サービス等の提供についての計画)の作成や市町村・サービス事業 者・施設等との連絡調整を行う者 |
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さらに、介護保険法第7条第5項でも次のように規定されています。
「介護支援専門員」とは、要介護者又は要支援者(以下「要介護者等」という。)からの相談に応じ、及び要介護者等がその心身の状況等に応じ適切な居宅サービス、地域密着型サービス、施設サービス、介護予防サービス若しくは地域密着型介護予防サービス又は特定介護予防・日常生活支援総合事業(第百十五条の四十五第一項第一号イに規定する第一号訪問事業、同号ロに規定する第一号通所事業又は同号ハに規定する第一号生活支援事業をいう。以下同じ。)を利用できるよう市町村、居宅サービス事業を行う者、地域密着型サービス事業を行う者、介護保険施設、介護予防サービス事業を行う者、地域密着型介護予防サービス事業を行う者、特定介護予防・日常生活支援総合事業を行う者等との連絡調整等を行う者であって、要介護者等が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的知識及び技術を有するものとして第六十九条の七第一項の介護支援専門員証の交付を受けたものをいう。 |
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これらの定義から分かるように、介護支援専門員(ケアマネジャー)は単なる相談役にとどまらず、介護サービスの利用を支える中心的な存在として法的に位置づけられています。
介護支援専門員(ケアマネジャー)とケアマネの違い
介護支援専門員とケアマネは、呼び方が異なるだけで同じ資格・職種を指します。
正式名称は「介護支援専門員」であり、都道府県が交付する介護支援専門員証を持つ人をいいます。
一方、日常的には「介護支援専門員(ケアマネジャー)」や略して「ケアマネ」と呼ばれ、現場や利用者、家族に広く定着しています。
つまり法的な資格名が介護支援専門員、通称がケアマネであり、業務内容や役割に違いはありません。
介護支援専門員(ケアマネジャー)になるには?
介護支援専門員(ケアマネジャー)になるには、まず保健・医療・福祉分野での一定の実務経験が必要です。
具体的には、介護福祉士・社会福祉士・看護師などの国家資格を持ち、5年以上かつ900日以上の実務に従事していることが主な受験条件です。
そのうえで「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格し、実務研修を修了することで各都道府県の名簿に登録され、介護支援専門員証が交付されます。
ここでは、介護支援専門員(ケアマネジャー)試験の概要から受験資格、受験者数・ 合格者数・合格率(難易度)について解説します。
介護支援専門員(ケアマネジャー)試験の概要をわかりやすく解説
試験は年に1回実施され、出題形式は五肢複択式です。出題は原則60問(介護支援25、保健医療20、福祉15)で実施されます。※年度の実施要領で最終構成を確認してください。
試験時間は原則120分で、点字や弱視受験者には延長措置があります。
主な出題範囲は介護保険制度、要介護認定、ケアプラン作成、居宅・施設サービスの基礎知識などです。合格後は「実務研修」を修了することが必須であり、研修を終えて初めて登録可能となります。
区分 | 問題数 | 主な出題内容 | 試験時間 |
---|---|---|---|
介護支援分野 | 25問 | 介護保険制度、要介護認定、ケアプラン作成 | 120分(原則) |
保健医療福祉サービス分野 | 35問 | 医療知識、リハビリ関連、福祉制度、地域支援 | |
合計 | 60問 | — | 120分(点字は180分、弱視等は156分) |
受験資格|介護福祉士・社会福祉士・看護師などの国家資格が必須
介護支援専門員実務研修受講試験を受けるには、一定の資格と実務経験が必要です。
介護福祉士・社会福祉士・看護師などの国家資格を持ち、5年以上かつ900日以上の実務従事が基本条件となります。
また、特定の相談援助業務に従事した人も対象に含まれます。
資格取得後は都道府県の名簿に登録し、介護支援専門員証が交付されて初めて「ケアマネ」として活動できます。
受験資格の主な条件
- 介護福祉士、社会福祉士、看護師などの国家資格保有者
- 保健・医療・福祉分野での実務経験 5年以上かつ900日以上
- 相談援助業務に従事した者も対象
受験者数・ 合格者数・合格率(難易度)
厚生労働省が公開する第27回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況についてによると、令和6年度(第27回試験)は受験者数53,699人、合格者数17,228人、合格率32.1%でした。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
第25回(令和4年度) | 54,406人 | 10,328人 | 19.0% |
第26回(令和5年度) | 56,494人 | 11,844人 | 21.0% |
第27回(令和6年度) | 53,699人 | 17,228人 | 32.1% |
出典:第27回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について|厚生労働省
過去の推移を見ると、第1回(平成10年度)の44.1%をピークに、20%前後の厳しい水準が続いています。
直近は20%前後から30%台へやや回復傾向にありますが、依然として難関資格といえます。
受験者の中心は介護福祉士で全体の約65%を占め、次いで看護師や社会福祉士が続きます。基礎資格や現場経験を持つ専門職であっても、十分な学習と対策が不可欠だと考えられるでしょう。
更新(5年に1度)
介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格は5年ごとの更新制です。更新時は原則、法定の更新研修または実務者向けの専門研修(Ⅰ・Ⅱ)を受講し、修了後に更新手続きを行います。
失効した場合は再研修を受講することで再交付を受けられます。主任介護支援専門員も同様に5年ごとの更新が必要です。
また、過去の修了状況によっては前期や専門研修Ⅰが免除される場合があります。
実施時期・日数・受講料、オンライン可否や申込期限は都道府県で異なるため、登録地の案内を必ず確認しましょう。
更新申込のポイント
- 受付開始:令和7年4月1日告知
- 提出期限:4月15日必着(多くの区分で)
- 教育訓練給付制度:令和7年4月1日から、県内実施の複数の法定研修で利用可能(詳細は該当ページで確認)
更新要件・日程・申込方法・定員・給付制度の有無は都道府県により異なるため、最新の都道府県告知をご確認ください。
出典:介護支援専門員資格更新のための各種研修 - 福岡県庁ホームページ
出典:介護支援専門員(介護支援専門員(ケアマネジャー))の更新及び研修について
オンライン研修を希望する場合は、電子申請のみ受け付けており、郵送での申込は対象外です。募集が定員を超えた際は、有効期限が早い方、例えば令和8年に満了する人が優先されます。
なかには、修了証明書の添付が必要となる申込パターンもあります。紛失した場合には申立書を提出しましょう。
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介護支援専門員(ケアマネジャー)の役割
ここでは、介護保険制度を支える専門職としての介護支援専門員(ケアマネジャー)の役割について解説します。
制度上の位置づけから利用者支援、サービス調整、多職種連携、地域包括ケアへの貢献まで、その重要性を整理します。
介護保険制度における介護支援専門員(ケアマネジャー)の位置づけ
介護支援専門員(ケアマネジャー)は介護保険制度において、利用者とサービス提供者、行政をつなぐ専門職です。要介護認定を受けた人が必要な介護サービスを適切に利用できるよう、計画策定や調整を行います。
介護保険法でも制度上の必置職種とされ、利用者が安心して生活できる体制を支える重要な役割を担っています。そのため、制度理解と高い専門性が求められるとともに、中立的な立場で公平にサービスをコーディネートすることが期待されています。
利用者・家族への相談支援とアセスメント
介護支援専門員(ケアマネジャー)の業務は、まず利用者や家族からの相談対応から始まります。
心身の状況や生活環境を把握し、支援が必要な課題を明確にするアセスメントを実施します。アセスメントでは以下のような観点を整理することが特徴です。
身体機能や健康状態
- 日常生活動作(ADL)の状況
- 家族や介護者の支援体制
- 利用者や家族の希望
利用者の身体機能や健康状態の情報をもとに、支援の方向性を定めることで、ケアプラン作成の基盤を築きます。
アセスメントは継続的に見直しを行い、状況の変化に即した支援へつなげることが重要です。
ケアプラン作成とサービス調整の中心的役割
アセスメント結果をもとに、介護支援専門員(ケアマネジャー)は利用者ごとのケアプランを作成します。
ケアプランには「目標」「必要なサービス」「利用頻度」などが盛り込まれ、複数の事業者が連携して実施します。
項目 | 内容例 |
---|---|
生活目標 | 「在宅での自立を維持」 |
サービス | デイサービス週2回、訪問介護週3回 |
支援者 | ヘルパー、家族、医師 |
サービス開始後も進捗を確認し、課題があれば修正を行います。介護支援専門員(ケアマネジャー)は利用者の生活を継続的に支える中心的役割を果たしているのです。
多職種連携を支えるコーディネーターとしての役割
介護現場では医師、看護師、リハビリ職、介護職員など多くの専門職が関わります。介護支援専門員(ケアマネジャー)は情報を整理して共有し、利用者を中心としたチームケアを実現する調整役を担います。
具体的な調整業務の例
- 医師からの診療情報をサービス事業者へ伝達
- リハビリの目標を介護サービスに反映
- 家族の希望を多職種に共有
このように、関係者全員の視点をまとめ、利用者にとって最適なサービスを提供するための「ハブ」として機能します。
地域包括ケアシステムにおける貢献
介護支援専門員(ケアマネジャー)は、地域包括ケアシステムを推進する役割も担います。
高齢者が住み慣れた地域で生活を続けられるよう、行政、地域包括支援センター、NPO、ボランティアなどと連携しながら、医療・介護・生活支援を統合的に支えます。
特に、介護予防や在宅生活の継続を意識した支援は重要です。
地域包括ケアにおける介護支援専門員(ケアマネジャー)の役割
- 地域資源を活用した支援の提案
- 高齢者の孤立防止や介護予防の推進
- 地域住民やボランティアとの協働
こうした活動を通じて、地域全体で支え合う仕組みづくりに貢献しています。
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介護支援専門員(ケアマネジャー)の仕事内容
ここでは、介護支援専門員(ケアマネジャー)の日常業務の流れを紹介します。ケアプランの作成や会議の開催、モニタリング、事務処理など具体的な仕事内容をまとめました。
ケアプラン作成の流れ(課題分析からプラン策定まで)
介護支援専門員(ケアマネジャー)の主な業務内容はケアプランの作成です。
まずアセスメントを行い、課題と支援目標を明確にします。その後、介護サービスを選定・組み合わせ、具体的なプランを策定します。
ケアプラン作成の流れ
- 相談・アセスメント
- 課題分析と目標設定
- サービス内容・頻度の決定
- ケアプラン作成・同意
- 定期的な見直し
利用者の状況は日々変化するため、プランは固定ではなく、常に見直しが必要です。
サービス担当者会議の開催と関係機関との調整
ケアプランを実施するにあたり、サービス担当者会議を開催します。
この会議では、事業者に加え、医療職、介護職、家族が集まり、利用者の目標やサービスの内容を共有します。
会議で確認する内容
- 利用者の生活目標や希望
- サービス内容と役割分担
- 今後のフォロー体制
介護支援専門員(ケアマネジャー)は会議をリードし、関係者の意見を調整する役割を担います。この過程を通じてチームケアの方向性が一致し、質の高い支援が実現します。
利用者宅への定期訪問とモニタリング
介護支援専門員(ケアマネジャー)はサービス開始後も定期的に利用者宅を訪問し、状況を確認します。訪問時には以下の点をチェックします。
- サービスが計画通り実施されているか
- 健康状態や生活環境に変化がないか
- 家族の負担が過度になっていないか
これらを確認し、必要に応じてケアプランを修正します。
モニタリングを継続することで、利用者の生活の質の維持・向上につながります。
介護給付費請求や各種事務手続き
介護支援専門員(ケアマネジャー)はケアマネジメント業務に加えて、給付管理という事務処理も担います。
利用実績を確認し、介護給付費請求書を作成・提出することで、事業者が適切に報酬を受け取れるようにします。
また、要介護認定や更新申請に必要な書類作成の支援も重要な業務の1つです。
これらの事務業務は利用者が安心してサービスを継続するための基盤となるため、正確性と迅速さが求められます。
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介護支援専門員(ケアマネジャー)の施設勤務と居宅勤務の違い
介護支援専門員(ケアマネジャー)の勤務先によって仕事内容は異なります。
勤務形態 | 主な業務内容 |
---|---|
居宅介護支援事業所 | 在宅生活を支えるケアプラン作成、訪問調査、事業者との調整 |
介護保険施設(特養・老健など) | 入所者の生活を前提とした施設サービス計画の作成、施設内調整 |
居宅では利用者や家族との連携が中心となり、施設では職員や医療機関との調整が重視されます。勤務先に応じて求められるスキルも変わるのが特徴です。
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介護支援専門員(ケアマネジャー)のやりがいとは?
介護支援専門員(ケアマネジャー)の仕事は、利用者の生活を支える大切な役割を担っています。その中で感じられるやりがいは、人との関わりや支援の成果に直結する点にあると言えるでしょう。
ここでは、介護支援専門員(ケアマネジャー)ならではのやりがいについて紹介します。
利用者や家族からの「ありがとう」が大きな励みになる
介護支援専門員(ケアマネジャー)のやりがいの一つは、利用者や家族から直接「ありがとう」と感謝の言葉を受け取れることです。
介護に不安を抱える方々にとって、ケアプランの提案や相談に応じてくれる存在は大きな安心につながります。
日常生活の改善や介護負担の軽減が実感できたとき、支援の成果が目に見える形で返ってくることが、仕事を続ける大きなモチベーションになるでしょう。
利用者の生活の質向上に直接つながる支援ができる
介護支援専門員(ケアマネジャー)は、単に介護サービスを手配するだけでなく、利用者の生活の質(QOL)を高めることを目的に動きます。
例えば、リハビリを取り入れることで歩行が安定したり、デイサービス利用で社会参加が広がったりと、生活全体の変化を支えられるのが特徴です。
自分の関わりが利用者の自立や笑顔につながる瞬間は、大きな達成感を得られます。
多職種連携を通じて専門職としての成長を実感できる
介護支援専門員(ケアマネジャー)は、医師や看護師、介護職員、リハビリ専門職など多職種と連携して利用者を支えます。
異なる専門職と協力しながら最適な支援を組み立てていく過程は、自身の知識や視野を広げる機会となります。
チームの一員として信頼されることで、専門職としての成長を実感できるのもやりがいの一つです。
長期的に利用者を支える存在として信頼関係を築ける
介護支援専門員(ケアマネジャー)は、一度関わった利用者を長期間にわたりサポートするケースが多くあります。
介護が必要な状況の変化に合わせ、ケアプランを見直しながら支援を続けることで、利用者や家族との深い信頼関係が築かれます。
人生に寄り添う伴走者としての役割は、大きな責任とともに、他の職種では得られにくいやりがいを実感できるでしょう。
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介護支援専門員(ケアマネジャー)になるメリット
介護支援専門員(ケアマネジャー)は介護現場の中心的な存在として幅広く求められる資格です。
安定した需要やキャリアの広がりに加え、収入や待遇面での向上も期待できます。
ここでは、介護支援専門員(ケアマネジャー)になるメリットを整理します。
専門資格として安定した需要があり長く働き続けられる
少子高齢化が進む日本では、介護保険制度を支える介護支援専門員(ケアマネジャー)の需要は非常に高く、全国的に安定した就労環境があります。
介護業界全体で人材不足が課題となる中、資格保有者はどの地域でも必要とされるため、ライフスタイルの変化に合わせて働き続けられるのが大きな強みです。
幅広い職場で活躍できキャリアの選択肢が広がる
介護支援専門員(ケアマネジャー)は、居宅介護支援事業所や地域包括支援センター、介護保険施設、有料老人ホームなど、多様な職場で働けます。
現場ごとに役割や求められるスキルが異なるため、経験を積みながらキャリアの幅を広げることが可能です。
将来的に地域福祉や行政分野で活躍する道も拓かれています。
経験や年数に応じて主任介護支援専門員(ケアマネジャー)へのステップアップが可能になる
介護支援専門員(ケアマネジャー)として一定期間の経験を積むと、主任介護支援専門員(主任介護支援専門員(ケアマネジャー))を目指すことができます。
主任介護支援専門員(ケアマネジャー)は、後進の育成や複雑な事例の対応を担う上位資格であり、地域包括ケアの中核的存在です。
キャリアアップにより責任は増しますが、その分やりがいや専門職としての評価も高まる点が魅力です。
資格手当や処遇改善による収入アップにつながる
介護支援専門員(ケアマネジャー)資格は、多くの事業所で資格手当の対象となります。
さらに国が進める処遇改善加算の仕組みによって、賃金や待遇が改善される傾向も強まっています。
介護職の経験に介護支援専門員(ケアマネジャー)資格を加えることで、収入アップが期待できる点は大きなメリットです。
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介護支援専門員(ケアマネジャー)に相談できることとは?
介護に直面したとき、どこに相談すればよいか悩む方は少なくありません。介護支援専門員(ケアマネジャー)は介護の専門家として、利用者と家族双方の支援を担う存在です。
ここでは、介護支援専門員(ケアマネジャー)にどのような相談ができるのかを具体的に解説します。
相談内容 | 具体的なサポート内容 |
---|---|
定期訪問・見守り | 月1回以上の訪問で心身状況を確認し、家族へ報告 |
介護保険外サービスの利用 | 家事代行・配食・見守り機器などの紹介・契約支援 |
要介護認定申請や更新手続き | 書類作成から提出までの代行、申請手続きのサポート |
ケアプラン作成と家族調整 | 本人の希望と家族の状況を考慮した計画の立案・見直し |
定期訪問による見守りと家族への状況報告
介護支援専門員(ケアマネジャー)は少なくとも月1回、利用者の自宅を訪問して心身の状態を確認します。
体調の変化や生活の様子を把握し、その結果を家族へ丁寧に報告するのも重要な役割です。
特に、離れて暮らす家族にとっては安心材料となり、早めの対応が必要なサインを見逃さない仕組みにもなります。
利用者本人の健康や生活環境を継続的にチェックすることで、介護サービスの質を維持し、家族の精神的負担を和らげる支援につながります。
介護保険外サービスの情報提供と手配
介護保険の枠組みだけではまかないきれない支援が必要な場合、介護支援専門員(ケアマネジャー)は保険外サービスも視野に入れて調整します。
例えば、家事代行や配食サービス、見守り機器の導入など、生活の質を補完する民間サービスの情報を紹介し、契約や利用手続きのサポートまで行います。
制度上の限界を補う柔軟な提案が可能なため、利用者や家族のニーズに即した支援を受けられるのが大きなメリットです。
要介護認定申請や更新手続きの代行
介護サービスを利用するには、市町村への要介護認定の申請が欠かせません。しかし申請には書類の準備や役所への提出など煩雑な作業が伴います。
介護支援専門員(ケアマネジャー)は、こうした申請や更新手続きを代行できるため、家族の事務的な負担を大幅に軽減します。
特に初めて介護保険を利用する場合は流れが分かりにくいため、専門知識を持つ介護支援専門員(ケアマネジャー)に依頼することでスムーズかつ確実に進められるでしょう。
利用者と家族双方の事情を踏まえたケアプラン作成
介護支援専門員(ケアマネジャー)が作成するケアプランは、利用者本人の希望を尊重するだけでなく、介護を担う家族の状況や負担も考慮に入れたものになります。
例えば「本人はデイサービスを希望しているが、家族は送迎時間に制約がある」といったケースでは、双方の希望をすり合わせ、無理のない計画を立案します。
本人の自立支援と家族の生活の両立を図るため、現実的で持続可能なプランニングを行うのが介護支援専門員(ケアマネジャー)の強みです。
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介護支援専門員(ケアマネジャー)の給与・待遇
介護支援専門員(ケアマネジャー)の給与は、勤務先や経験によって幅があります。
厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、常勤介護支援専門員の平均給与額は375,410円です。この金額には基本給(月額)+手当+一時金(賞与含む)が含まれています。これを年収に直すと、約450万になります。
特別養護老人ホームや老健などの施設系は比較的高め、居宅介護支援事業所は中程度、地域包括支援センターでは公務員扱いのケースもあり安定した待遇が見込めます。
さらに主任介護支援専門員になると役職手当が加わり、収入アップにつながります。
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介護支援専門員(ケアマネジャー)の一日の仕事の流れ
介護支援専門員(介護支援専門員(ケアマネジャー))の働き方は、勤務先や担当利用者数により異なります。基本的には訪問・会議・事務処理が中心です。
ここでは平日のスケジュール例を表にまとめ、業務の流れをイメージできるように紹介します。
時間帯 | 主な業務内容 |
---|---|
9:00〜 | 出勤・メール/電話対応 |
10:00〜12:00 | 利用者宅訪問(モニタリングや面談) |
12:00〜13:00 | 昼休憩 |
13:00〜15:00 | ケアプラン作成、給付管理など事務処理 |
15:00〜17:00 | 事業所・医療機関との連携会議 |
17:00〜18:00 | 記録・報告書作成、翌日の訪問調整 |
このように、介護支援専門員(ケアマネジャー)は多職種との連携や事務作業、利用者との丁寧な対話など、幅広い業務を日々行っています。
繁忙期には残業が発生する場合もあり、効率的な働き方が求められるでしょう。
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介護支援専門員(ケアマネジャー)が働く場所・就職先
介護支援専門員(ケアマネジャー)(介護支援専門員)の勤務先は多岐にわたり、利用者の生活環境や地域の支援体制に応じて選択肢があります。
勤務先によって業務範囲や待遇が異なるため、自身のキャリアや働き方に合わせて選択しましょう。
居宅介護支援事業所
居宅介護支援事業所は、在宅で生活する高齢者を対象に支援を行う最も代表的な職場です。
介護支援専門員(ケアマネジャー)は利用者や家族からの相談を受け、介護サービス計画(ケアプラン)を作成し、訪問介護・通所介護・福祉用具レンタルなどの事業者と調整します。自宅での生活を希望する人が多いため、需要も高い分野です。
一方で、1人あたり30〜40人前後の利用者を担当することが一般的で、訪問や書類作成に追われる忙しさもあります。地域の状況や家族の希望を踏まえた柔軟な対応力が求められる職場といえるでしょう。
特別養護老人ホーム・介護老人保健施設などの施設系
特別養護老人ホームや介護老人保健施設といった入所型施設では、入居者の生活全般を支えるケアマネジメントを担います。
居宅支援と異なり、利用者は施設で生活するため、日常的な健康状態や生活習慣を把握しやすく、医療職や介護職との連携も密に行えます。
加えて施設内での会議や評価に基づいてケアプランを継続的に見直すため、チーム医療・介護の一員として働く実感を得やすい環境です。
給与水準は比較的安定している傾向がありますが、夜間や休日に緊急対応が必要になるケースもあるため、柔軟な勤務体制が求められます。
地域包括支援センター
地域包括支援センターは自治体直営や民間委託など運営形態が複数あり、雇用形態は施設ごとに異なります。公的色が強く、比較的安定しやすい傾向があります。
ここで働く介護支援専門員(ケアマネジャー)(主任介護支援専門員が多い)は、要支援認定を受けた高齢者のケアプラン作成や、地域の介護予防活動、権利擁護(成年後見制度の活用支援など)を担当します。
個人利用者の支援にとどまらず、地域全体の高齢者が安心して暮らせる仕組みづくりに携わる点が特徴です。自治体や医療機関、地域団体との連携も多く、調整力や企画力が問われます。

介護支援専門員(ケアマネジャー)に向いている人の特徴
介護支援専門員(ケアマネジャー)の仕事は、利用者や家族の生活を支える重要な役割を担うため、単に介護の知識や経験だけでなく、人柄や資質も大きく影響します。
ここでは、介護支援専門員(ケアマネジャー)に向いている人の代表的な特徴を解説します。
コミュニケーション力が高い人
介護支援専門員(ケアマネジャー)は利用者本人や家族、介護サービス事業者、医療機関など多様な関係者と日常的に関わります。意向を丁寧に聞き取り、誤解なく伝える力が不可欠です。
たとえば、利用者が希望する生活と家族の介護負担が食い違う場合、双方の意見を整理し、納得できる解決策を見いだす調整力が求められます。
信頼関係を築けるコミュニケーション力は、業務の土台となる重要な資質です。
調整力と柔軟性を持つ人
ケアプランの実現には、多職種との連携と臨機応変な対応が欠かせません。利用者の体調変化や急な入院など、予定外の出来事が起こることも多いため、その都度スケジュールやサービス内容を見直す柔軟性が必要です。
さらに、介護職・医師・行政といった立場の異なる関係者の意見をまとめ、利用者にとって最適な方向へ導く調整力が求められます。状況に応じて優先順位を見極められる人は、この仕事に向いているといえるでしょう。
人の生活や福祉に関心がある人
介護支援専門員(ケアマネジャー)の役割は、単なる事務手続きではなく、利用者の生活全体を見据えた支援を行うことにあります。そのため「人の役に立ちたい」「高齢者が安心して暮らせる社会を支えたい」といった思いを持っている人に向いています。
また、利用者一人ひとりの背景や生活習慣に寄り添い、最適なサービスを考える姿勢が欠かせません。
人の生活や福祉に関心を持ち、継続して学ぶ姿勢を大切にできる人に適した仕事だといえるでしょう。
責任感を持って取り組める人
介護支援専門員(ケアマネジャー)は、利用者の生活を支える計画づくりや調整を担う立場にあるため、大きな責任を伴います。
作成したケアプランが適切でなければ、利用者の生活の質や家族の負担に直結してしまいます。そのため、最後まで責任を持って業務を遂行できる姿勢が重要です。
また、法律や制度に基づく業務も多いため、誠実さと正確さも欠かせません。小さなことでも妥協せず、利用者の立場を尊重して行動できる責任感のある人に向いています。
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介護支援専門員(ケアマネジャー)に向いていない人の特徴
介護支援専門員(ケアマネジャー)は利用者や家族、関係機関との調整役を担う重要な仕事です。そのため、専門知識だけでなく人柄や姿勢も大きく影響します。
ここでは、介護支援専門員(ケアマネジャー)の業務に不向きとされる代表的な特徴を解説します。
人と関わることが苦手な人
介護支援専門員(ケアマネジャー)は日々、利用者や家族、医療・介護関係者とのやり取りを行います。人と関わることを避けたい、会話や説明が苦手といった人は、業務を円滑に進めるのが難しくなるでしょう。
とくに、家族と本人の意向が食い違った場合には双方を調整する必要があり、高い対話力が求められます。
人と関わることに抵抗があると、信頼関係を築けず、ストレスが溜まりやすい職場環境になってしまう可能性があります。
責任感が乏しい人
ケアプランの作成やサービス調整は、利用者の生活の質に直結する重要な業務です。そのため、責任感が薄く「自分の仕事だけ済めばよい」と考える人には不向きです。
制度に基づいた正確な記録や説明義務があるため、誤りや怠慢は利用者に不利益を与えかねません。
また、緊急対応や判断を迫られる場面もあるため、責任を持って業務を遂行できる姿勢が欠かせません。責任感に自信がない人には厳しい仕事といえます。
柔軟に対応できない人
介護現場では予期せぬ出来事が頻繁に起こります。体調の急変や入院によりケアプランを急遽変更することも珍しくありません。
その際に、マニュアルどおりでしか動けない人や柔軟に考えられない人は、利用者に必要な支援を届けられなくなる可能性があります。
優先順位を臨機応変に判断し、状況に応じた最適解を導き出せる柔軟さが不可欠です。変化に弱い人や予定外の対応に強いストレスを感じる人には向いていないでしょう。
介護支援専門員(ケアマネジャー)の将来性
介護支援専門員(ケアマネジャー)は高齢化が進む日本において、今後ますます需要が高まる職種です。
医療と介護の連携が重視される中で、利用者の生活を支える調整役としての役割は不可欠となっています。
ここでは、介護支援専門員(ケアマネジャー)の将来性を「需要動向」「キャリアパス」「社会的役割」の観点から解説します。
高齢化社会に伴う需要の拡大
厚生労働省老健局「ケアマネジメントに係る現状・課題」によると、日本では65歳以上の人口が2025年に約3,653万人、2043年には約3,953万人に達し、最も高齢化が進む時期を迎えるとされています。
「2 0 4 0年に向けたサービス提供体制等のあり方」現状と課題・論点についてでは、2040年には85歳以上の人口が急増し、それに伴い生産年齢人口の減少も予測されています。
こうした人口構造の変化から、介護サービスの利用は今後も増加していく見込みで、介護支援専門員(ケアマネジャー)の役割と需要は制度的にも社会的にも一層重要になるでしょう。
キャリアパスと専門性の広がり
厚生労働省老健局「ケアマネジメントに係る現状・課題」では、ケアマネジメントの質向上に向けて、公正中立性の確保やICT活用など業務環境の整備を重要視しています。
このような研修体制や制度整備が進む中で、介護支援専門員(ケアマネジャー)は主任介護支援専門員など上位資格取得や専門職としての成長を目指しやすくなってきています。
将来的には地域包括ケアの推進など多様な役割への展開も期待されます。
地域包括ケアにおける重要な役割
介護支援専門員(ケアマネジャー)は、地域包括ケアシステムのなかで医療・生活支援・介護を統合する「調整役」として中核的な存在です。
厚生労働省の検討会では、公正中立性のもとに効率的にケアマネジメントを行うための業務整理の提案や環境整備が進められており、介護支援専門員(ケアマネジャー)の役割強化が推進されています。
出典:ケアマネジメントに係る現状・課題|厚生労働省
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介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格取得後のキャリアアップ
介護支援専門員(ケアマネジャー)は資格取得後も学びを続け、経験を積むことでさらなるキャリアアップが可能です。
現場での実務に加えて、研修や上位資格を通じてスキルを磨くことで、より責任ある役割や幅広いキャリアに挑戦できます。
ここでは、介護支援専門員(ケアマネジャー)(介護支援専門員)の資格取得後の代表的なキャリアアップの道についてご紹介します。
主任介護支援専門員(主任ケアマネ)へのステップアップ
介護支援専門員(ケアマネジャー)として5年以上、かつ900日以上の実務経験を積むと、主任介護支援専門員の研修を受講できます。
主任ケアマネになると、他のケアマネへの助言や指導、複雑なケースへの対応など、より高度な役割を担います。
地域包括支援センターや自治体関連機関での勤務にもつながり、専門性と責任が大きく広がります。キャリアを長期的に築きたい人にとって、主任資格は重要なステップです。
管理職やマネジメント職へのキャリア
経験を重ねた介護支援専門員(ケアマネジャー)は、介護事業所や施設で管理職として活躍する道も開かれています。管理者として勤務する場合、職員の育成や運営方針の策定、経営的な視点での判断が求められます。
現場の知識を活かしつつ組織をまとめる力が必要となり、マネジメントスキルを高めたい人に適しています。
責任は増しますが、その分待遇面でも優遇されることが多く、収入アップを目指せるキャリアパスです。
専門分野や関連資格への展開

まとめ
介護支援専門員(ケアマネジャー)は、介護保険の要であるケアプランの策定・調整・モニタリングを担い、医療・介護・地域資源をつなぐ中核的役割を果たします。
働く場は居宅、施設、地域包括支援センターなど多様で、業務は訪問・会議・事務処理が混在しています。介護支援専門員(ケアマネジャー)の平均月収は375,410円で、年収に直すと、約450万円になります。
試験は年1回実施され、全60問で構成されています。直近の合格率はおよそ3割で、資格は5年ごとに更新研修を受ける必要があります。
自分が介護支援専門員(ケアマネジャー)に向いているかどうかを見極め、働きたい職場を比較検討することが大切だと言えるでしょう。
よくある質問
Q.パート勤務でも受験資格になりますか?
介護支援専門員実務研修受講試験の受験資格には、「実務経験が5年以上、かつ従事日数900日以上」という基準が設けられています。雇用形態が正社員でなくても、パートや非常勤職員であっても、条件を満たしていれば受験可能です。
ただし、勤務証明書や従業日数の管理が正確にされている必要があり、事業所からの証明が必須です。週の勤務日数や時間によっては5年経っても従事日数が足りない場合があるため、勤務実績の管理には注意が必要です。
受験前には、都道府県が発行する受験要項を確認し、要件を満たしているかを早めにチェックしておくと安心です。
Q.どの施設で働くのが自分に合っていますか?
介護支援専門員は、居宅介護支援事業所、介護施設、地域包括支援センターなど、さまざまな職場で活躍できます。
たとえば、利用者宅を訪問して支援することにやりがいを感じる人には「居宅ケアマネ」が向いています。一方、同じ施設内で多職種と連携しながら働きたい方には、特養や老健といった「施設ケアマネ」が適しています。また、より包括的な地域支援や制度運用に携わりたい場合は、地域包括支援センターでの勤務が選択肢となるでしょう。
自身の関心や得意分野、働き方の希望に応じて、最適な職場を選ぶことが大切です。
Q.試験の難易度と合格率はどのくらいですか?
介護支援専門員実務研修受講試験の合格率は、年度によって異なりますが、概ね15〜20%前後とされており、やや難易度の高い試験といえます。
▶出典:第27回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について|厚生労働省
出題範囲は、介護保険制度やケアマネジメントに関する知識のほか、法令、医療・福祉の基礎知識まで幅広く、実務経験に基づいた応用力も問われます。特に独学の場合は、過去問の繰り返し演習や参考書の活用が重要です。合格後には実務研修も必要であり、資格取得までには一定の学習と時間が求められます。しっかりと準備すれば十分に合格を目指せる試験です。
Q.介護支援専門員(ケアマネジャー)資格を取るメリットは何ですか?
介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格を取得することで、キャリアの幅が大きく広がります。
たとえば、施設介護職や看護職としての経験を活かし、利用者の支援計画を立案・調整する立場へステップアップできます。また、介護支援専門員(ケアマネジャー)は在宅や施設、地域支援など多様な職場でニーズが高く、求人も安定しています。勤務先によっては資格手当が支給されるなど、待遇面での向上も期待できます。
さらに、利用者や家族、多職種との関わりを通じて、広い視野と専門性を身につけることができる点も大きな魅力です。

海野 和(看護師)
この記事の監修者情報です
2006年に日本消化器内科内視鏡技師認定証を取得し、消化器系疾患の専門的な知識と技術を習得。2018年にはNCPR(新生児蘇生法専門コース)の認定を取得し、緊急時対応のスペシャリストとしての資格を保有。さらにBLS(HeartCode®BLSコース)を受講し、基本的生命維持技術の最新知識を習得。豊富な臨床経験と高度な専門資格を活かし、医療・介護分野における正確で信頼性の高い情報監修を行っています。
【保有資格】
・日本消化器内科内視鏡技師認定証(2006年取得)
・NCPR(新生児蘇生法専門コース終了認定証)(2018年取得)
・BLS(HeartCode®BLSコース)受講済み
