この記事がおすすめな人

- 人と関わることが好きな人利用者と一対一でじっくり向き合い、信頼関係を築きながら支援を行うため、人と接することが好きで「誰かの役に立ちたい」という思いが強い人に適しています。
- コミュニケーションが得意な人利用者の気持ちや状況を理解し、適切に対応するためには高いコミュニケーションスキルが必要です。相手の話を丁寧に聞き取れることや状況に応じて伝え方を工夫できる人に向いています。
- 臨機応変で柔軟な対応ができる人外出支援では急な体調変化や天候の変化など予期せぬ事態が生じやすく、冷静に対応することが求められます。計画通りにいかなくても柔軟に対応できる能力のある人が適任です。
ポイント
- ガイドヘルパーは、外出や移動が困難な方へ個別に寄り添い支援する専門職。
- 人と深く関わり、信頼関係を築くことが好きな方に適している。
- 臨機応変な対応力や高いコミュニケーションスキル、方向感覚が求められる。
- 身体的な負担が比較的少なく、個別支援を重視したい方におすすめ。


ガイドヘルパーとはどんな資格か
ガイドヘルパーは、正式には「移動介護従事者」と呼ばれています。障害を持つ方が一人で外出や移動をすることが困難な場合、日常生活や社会参加の機会が大きく制限されてしまいます。ガイドヘルパーは、そうした方々の外出や移動を支援し、社会参加や生活の質の向上に大きく貢献する職種です。
ガイドヘルパーの対象となるのは、視覚障害者、全身性障害者(常時車椅子を利用する方)、知的障害者、精神障害者など、障害の種類や程度により多岐にわたります。たとえば、視覚障害者は一人で安全に歩行することが難しく、全身性障害者は移動の際に車椅子の操作や段差の乗り越えなど物理的なサポートが必要です。
また、知的・精神障害者の場合は、外出先でのパニックや迷子、コミュニケーション上の困難にも適切に対応することが求められます。
ガイドヘルパーがいることで、障害を持つ方が安心して外出しやすくなり、買い物や通院、余暇活動、旅行など、日常生活の幅が広がります。単なる移動の介助だけでなく、利用者の生活の質(QOL)を維持し、向上させる重要な役割を担っているのです。
ガイドヘルパーは、市町村が実施する「移動支援事業」で活躍しており、地域によっては資格取得条件が異なります。無資格で受講できる場合もあれば、介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)以上の資格が必要な場合もあるため、事前確認が必須です。
資格の種類と法的な位置づけ
ガイドヘルパーは、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの一環として位置づけられています。ホームヘルパー(訪問介護員)が利用者の自宅で介護を行うのに対し、ガイドヘルパーは主に外出時の移動支援を専門としています。
ガイドヘルパーの資格には、支援対象ごとにいくつかの種類があります。
- 全身性障害者ガイドヘルパー
車椅子利用者や身体に重度の障害がある方を対象とし、全身性障害者ガイドヘルパー養成研修を修了することで資格を得ます。
- 知的・精神障害者ガイドヘルパー(行動援護従業者)
知的障害や精神障害を持つ方の外出支援を行い、行動援護従業者養成研修を修了することで資格を得ます。
- 視覚障害者ガイドヘルパー(同行援護従業者)
視覚障害者の外出支援を専門とし、同行援護従業者養成研修を修了することで資格を得ます。
これらの研修は、都道府県や市区町村が指定した研修機関で実施されており、受講期間は2日〜5日、受講費用は2万円〜5万円程度が一般的です。特別な資格や経験がなくても受講できる場合が多く、比較的短期間で取得できるのが特徴です。

ガイドヘルパーの業務内容
ガイドヘルパーの業務内容は、障害を持つ方が安全かつ安心して外出できるようサポートすることに特化しています。移動支援のプロフェッショナルとして、利用者一人ひとりの障害特性や生活状況に合わせたきめ細やかなサービスを提供します。ここでは、ガイドヘルパーの主な業務内容について、支援対象ごとに詳しく解説します。
1. 全身性障害者の移動支援
全身性障害者、特に車椅子利用者や四肢麻痺など身体に重度の障害がある方の外出をサポートします。主な業務は以下の通りです。
- 車椅子の操作・誘導
段差や坂道、狭い場所での車椅子操作、公共交通機関の利用時の乗降サポートなどを行います。利用者が自力で移動できない場合は、車椅子を押したり、移乗の介助をしたりします。 - 生活行為の支援
外出先での食事やトイレの介助、衣服の着脱など、日常生活動作のサポートも含まれます。 - 安全確保とリスクマネジメント
交通量の多い場所や混雑した施設での安全確保、転倒や事故防止に細心の注意を払いながら支援します。
2. 知的障害・精神障害者の行動援護
知的障害や精神障害を持つ方の外出時には、行動上の困難や不安、パニックなどに対応する必要があります。主な業務は以下の通りです。
- コミュニケーション支援
利用者のペースに合わせた声かけや、わかりやすい説明を行い、安心感を与えます。 - 行動障害の予防と対応
自傷や多動、パニックなどの行動障害が起こらないよう見守り、必要に応じて適切に対応します。 - 外出先での安全管理
迷子や危険な場所への立ち入りを防ぐための誘導や、トラブル発生時の迅速な対応も重要な業務です。
3. 視覚障害者の同行援護
視覚障害者のガイドヘルパー(同行援護従業者)は、見えない・見えにくい利用者の「目」となって外出をサポートします。主な業務は以下の通りです。
- 周囲状況の言語化・情報提供
現在地や周囲の状況、段差や信号、目印となる建物などを言葉で伝えます。道路標識や掲示物、書類の内容を読み上げたり、必要に応じて代筆も行います。 - 手引き歩行・移動サポート
利用者の歩行を安全に誘導し、障害物や危険を避けるためのサポートを行います。 - 公共交通機関の利用支援
切符の購入や乗降、乗り換え案内、座席への誘導など、交通機関利用時の支援も重要な業務です。
4. その他の業務
- 余暇活動や社会参加の支援
通院や買い物だけでなく、スポーツ観戦やコンサート、旅行など、余暇活動や社会参加の場面でもガイドヘルパーは活躍します。 - 利用者の希望や体調に合わせた柔軟な対応
その日の体調や気分、希望に応じて、行き先や支援内容を調整することも求められます。 - 事務作業や記録
支援終了後には、利用者の様子や支援内容を記録し、事業所に報告する業務もあります。

ガイドヘルパーの1日のスケジュール
ガイドヘルパーの1日は、利用者の予定や依頼内容によって異なりますが、一般的なスケジュール例は以下の通りです。
1日の流れ(例)
【8:00 事務所へ出勤】
事業所に出勤し、その日の予定や利用者情報を確認します。
【8:20 利用者宅へ移動】
用者宅へ向かい、外出支援を開始します。通学や通所、通院などが目的の場合 が多いです。
【9:00 外出支援】
利用者と一緒に目的地へ移動します。移動中は安全確保や周囲の状況説明、必要 に応じて車いす介助や段差のサポートなどを行います。視覚障害者の場合は、 周囲の情報を言葉で伝えたり、代読・代筆も担当します。
【12:00 休憩】
利用者と一緒に昼食をとることもあり、食事介助やトイレ介助が必要な場合もサ ポートします。
【13:00 訪問介護や別の外出支援】
午後は別の利用者の外出支援や、訪問介護(買い物や散歩の付き添いなど)を行 うことがあります。
【15:00 利用者宅へ送迎】
施設や学校から利用者宅へ送り届けます。帰宅後、ご家族へ外出内容の報告や金 銭管理(使ったお金の明細確認など)も行います。
【16:00 事務所に戻り事務作業】
支援内容の記録や報告書の作成など、事務処理を行います。
【17:00 退勤】
支援内容のバリエーション
ガイドヘルパーは、以下のような多様な外出支援を行います。
- 通院や買い物、役所手続きの付き添い
- 余暇活動(スポーツ観戦、コンサート、映画鑑賞など)の同行
- 日帰り旅行やイベント参加のサポート(長時間の場合もあり)
- 移動中の安全確保、コミュニケーション支援、食事・排泄介助
ガイドヘルパーの支援内容や勤務時間は、利用者の障害特性や希望によって大きく異なります。正社員として働く場合は、ガイドヘルパー業務だけでなく、ホームヘルパーや介護士など他の介護業務も兼任することが一般的です。また、外出支援が長時間に及ぶ場合、1日の支援時間は8時間程度が上限とされており、この上限は自治体によって異なる場合があります。ガイドヘルパーの仕事は、利用者一人ひとりのニーズや状況に合わせて柔軟に対応することが求められる点が特徴です。

ガイドヘルパー養成研修のカリキュラム
ガイドヘルパー養成研修は、支援対象ごとにカリキュラムが細かく分かれています。ここでは「全身性障害」「知的障害」「精神障害」「視覚障害(同行援護)」の4つに分けて、それぞれのカリキュラム内容を詳しく解説します。
全身性障害者ガイドヘルパー養成研修カリキュラム
全身性障害者(主に車椅子利用者や四肢麻痺等)の移動支援に特化したカリキュラムです。
資格取得の流れ・要件
- 全身性障害者ガイドヘルパーは、全身性障害者ガイドヘルパー養成研修を修了することで資格を得ます。
- 特別な受講資格は設けられていないことが多く、未経験者でも受講可能です。
- 研修は2〜3日間で、座学と実技を組み合わせて実施されます。
主な講義内容(例)
- 障害者福祉に係る制度及びサービス(障害者総合支援法、移動支援制度、サービスの種類と役割)
- 移動介護の制度と業務(移動介護の意義、ガイドヘルパーの業務範囲、注意点)
- 居宅介護概論(居宅介護の役割、制度、現状、基本業務、関連機関との連携)
- 居宅介護従業者の職業倫理(守秘義務、プライバシー保護、福祉職の倫理観)
- 全身性障害の特性と疾病理解(脳性麻痺、筋ジストロフィーなどの疾患や障害の特徴)
- 障害者の心理理解(外出時の不安やストレス、信頼関係の築き方)
- 移動介助の基礎知識(安全な移動、リスク管理、事故防止)
- 移動介助の基本技術(車椅子操作、段差・坂道・狭所の移動、交通機関利用の介助)
- 食事やトイレ介助など生活支援
- 実地演習(街中や公共交通機関での移動介助実習)
行動援護従業者養成研修カリキュラム
知的障害・精神障害のある方の外出や日常生活を安全にサポートすることに特化したカリキュラムです。
資格取得の流れ・要件
- 行動援護従業者養成研修の修了が必須
- 受講資格は原則不問(無資格でも受講可能。都道府県により要件が異なる場合あり)
- 一部、介護福祉士や初任者研修修了者、または一定の福祉実務経験が求められる場合あり
主な講義内容(例)
- 障害特性の理解(知的・精神障害の発達段階、行動特性、心理的特徴、支援のポイント)
- 障害者福祉制度・サービスの基礎知識
- 行動障害の背景理解とアセスメント
- 外出や日常生活におけるリスク管理・安全確保
- コミュニケーション技術(わかりやすい説明、傾聴、安心感の提供、適切な距離感)
- 公共交通機関利用時の支援方法
- トラブル・危機対応(パニックや迷子、不安時の対応法)
- 実地演習(公共施設・交通機関での模擬外出、ロールプレイ、事例検討)
視覚障害者同行援護従業者養成研修カリキュラム
視覚障害者の外出時の安全確保と情報提供を重視したカリキュラムです。
資格取得の流れ・要件
- 視覚障害者同行援護従業者になるためには、同行援護従業者養成研修(一般課程)を修了することが基本です。研修は2〜3日間で、視覚障害の理解、手引き歩行、情報提供、代筆・代読、公共交通機関利用のサポートなどを学びます。
- さらにサービス提供責任者を目指す場合は、一般課程に加えて「応用課程」の修了が必要です。応用課程ではより高度な支援技術や管理業務について学びます。
- 介護福祉士や居宅介護職員初任者研修修了者などが、1年以上視覚障害者支援の実務経験を積んでいる場合、資格要件を満たすこともあります。
- 国立障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科の修了者も資格要件を満たします。
主な講義内容(例)
- 視覚障害者福祉の制度とサービス
- 同行援護の制度と従業者の業務
- 障害・疾病の理解
- 障害者の心理
- 情報支援と情報提供(周囲の状況説明、音・匂い・触感の説明)
- 代筆・代読の基礎知識
- 手引き歩行の技術(歩行補助、段差・階段・障害物の案内)
- 公共交通機関利用のサポート(乗降、座席案内、切符購入)
- 実習(基本技能、応用技能、交通機関利用、場面別技能)
ガイドヘルパー養成研修は、障害種別ごとに必要な知識・技術を体系的に学べるよう設計されています。全身性障害、知的障害、精神障害、視覚障害それぞれの特性に応じたカリキュラムを受講することで、現場で即戦力として活躍できるガイドヘルパーが育成されています。カリキュラムの詳細や時間数は自治体や実施機関によって若干異なりますが、座学と実習のバランスが重視されています。

ガイドヘルパーの給与や年収
ガイドヘルパーの給与や年収は、雇用形態や地域、経験、資格の有無によって大きく異なります。
正社員(常勤)の給与・年収
ガイドヘルパーとして正社員で働く場合、月給は18万円〜22万円前後が相場です。
平均値としては月給20万円前後とされることが多く、これを年収換算すると約250万円〜280万円が主流となっています。求人によっては賞与や手当を含めて年収310万円程度まで見込めるケースもあります。
- 月給例:18万円~22万円
- 年収例:250万円~280万円(賞与・手当込みの場合もあり)
地域によっては首都圏や都市部の方が高めに設定される傾向があり、また経験や資格(介護福祉士や初任者研修修了者など)によっても若干上乗せされるケースがあります。
さらに、正社員の場合はボーナス(賞与)や各種手当(交通費、資格手当、早朝・深夜手当など)、福利厚生が加算されることが多く、これらを含めて年収が決まります。
パート・アルバイトの時給・年収
パートやアルバイトで働く場合、時給1,150円〜1,800円程度が目安です。
多くの求人では時給1,300円〜1,500円が中心ですが、地域や夜間・休日勤務、身体介護の有無などによっては時給2,000円以上のケースもあります。
- 時給例:1,150円~1,800円(平均1,300円~1,500円)
- 年収例:勤務日数・時間によって大きく異なるが、週3日・1日4時間勤務で年間約70万円~110万円程度が目安
パート・アルバイトの場合、勤務時間が短い・変則的なシフトも多く、扶養範囲内で働く主婦層やダブルワークの方が多いのが特徴です。また、週1日からの勤務や単発、短時間勤務も可能な求人が増えており、ライフスタイルに合わせて柔軟に働ける環境が整っています。
給与に影響する主な要素
- 地域差:都市部や首都圏の方が高めに設定されている傾向があります。
- 経験・資格:介護福祉士や初任者研修修了者などの資格を持っていると、資格手当や基本給が上がる場合があります。
- 勤務時間・シフト:夜間や土日祝日の勤務は時給が割増になることが多いです。
- 雇用形態:正社員は安定した収入と福利厚生があり、パート・アルバイトは柔軟な働き方が可能ですが、年収は勤務日数・時間に大きく左右されます。
資格手当・昇給・キャリアアップ
ガイドヘルパーの資格を取得していると、資格手当がつく事業所もあります。資格手当は月5,000円〜1万円程度が多いですが、事業所によって異なります。
また、経験を積んで介護福祉士などの上位資格を取得すれば、月収・年収アップや役職手当が期待できます。介護業界全体では、キャリアアップによる昇給や役職手当の加算も一般的です。

ガイドヘルパーに向いている人
ガイドヘルパーに向いている人には、いくつかの明確な特徴や資質があります。これは、障害を持つ方の外出や社会参加を一対一で支援するという仕事の性質上、専門的な技術や知識だけでなく、人柄やコミュニケーション能力、柔軟な対応力などが大きく求められるためです。
- 人と関わるのが好き
- コミュニケーション能力が高い
- 臨機応変・柔軟な対応ができる
- 方向感覚や計画性がある
- 一人の相手とじっくり向き合える
- 冷静な判断力と安全意識がある
- 社交性や観察力がある
これらの資質を持つ人は、利用者の安心・安全を守りながら、その人らしい外出や社会参加を支援できるガイドヘルパーとして、大きなやりがいと成長を実感できるでしょう。
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ガイドヘルパーのメリット
ガイドヘルパー資格を取得して働くメリットは次の通りです。
1. 仕事の幅が広がる・キャリアアップに有利
ガイドヘルパーの資格を取得することで、視覚障害や全身性障害、知的・精神障害など幅広い利用者の外出支援が可能になり、訪問介護や障害者支援施設などさまざまな職場で活躍できます。これまで施設内中心だった介護職員も、外出支援の現場で新たな経験を積めるため、キャリアの幅が広がります。
2. 利用者一人ひとりに寄り添える・やりがいが大きい
ガイドヘルパーは1対1で利用者に付き添い、個々の希望やペースに合わせた支援ができます。外出を通じて利用者の「できた」「楽しい」といった体験や成長を間近で感じられ、感謝の言葉や信頼関係の構築など大きなやりがいがあります。
3. 社会参加・生活の質向上への貢献
障害者や高齢者が自由に外出し、社会参加できる機会を提供することで、利用者の生活の質(QOL)向上や自立支援に大きく貢献できます。外出が難しい方にとって、ガイドヘルパーの存在は生活の幅を広げる大きな支えとなります。
4. 働き方の多様性・ライフスタイルに合わせやすい
正社員だけでなく、パートやアルバイト、登録ヘルパーなど多様な働き方が選べます。短時間勤務やダブルワーク、扶養範囲内での勤務も可能で、自分のライフスタイルに合わせて働ける点も大きなメリットです。
5. 社会貢献と自己成長
ガイドヘルパーの仕事は、社会的な意義が高く、地域のインクルーシブ社会の実現や福祉向上に直接貢献できます。また、利用者の多様なニーズに応える中で、コミュニケーション力や問題解決力、柔軟な対応力など自分自身の成長も実感できます。
6. 高齢化社会での需要増・将来性
高齢化や障害者の社会参加推進により、ガイドヘルパーの需要は今後も増加が見込まれます。社会的な必要性が高まる中、長期的な安定性や将来性も期待できます。

ガイドヘルパーと混同しやすい資格との違い
ガイドヘルパーと混同されやすい資格には、「同行援護従業者」や「行動援護従業者」がありますが、それぞれ支援の対象者や業務内容、取得方法などに違いがあります。
まず「同行援護従業者」は、視覚障害を持つ方を対象とした資格です。主な業務は、視覚障害者の方が外出する際の移動支援や、必要な情報提供を行うことです。ガイドヘルパーと同様に養成研修を修了することで取得できますが、支援対象が視覚障害者に限定されている点が大きな違いです。
次に「行動援護従業者」は、知的障害や精神障害を持つ方のうち、特に行動上の困難がある方を対象としています。この資格を持つ人は、利用者が外出する際の危険回避や、行動上の支援を行います。取得には養成研修の修了に加え、一定の実務経験が必要となる場合があります。
このように、ガイドヘルパーは幅広い障害種別に対応した移動支援を行うのに対し、同行援護従業者は視覚障害者、行動援護従業者は行動上の困難がある知的・精神障害者を主に支援します。また、取得方法や必要な研修・経験にも違いがあるため、支援したい対象や働き方に合わせて資格を選ぶことが大切です。

ガイドヘルパー資格の取得方法
ガイドヘルパー資格は、都道府県や市町村が指定する養成研修を受講し、全カリキュラムを修了することで取得できます。修了試験はありません。
「ガイドヘルパー」という名称は、障害のある方の外出や移動を支援する専門職の総称として使われていますが、実際には支援する対象によって取得すべき資格が異なります。
例えば、知的障害や精神障害のある方を支援する場合は「行動援護従業者養成研修」を修了する必要があります。視覚障害のある方を支援する場合は「同行援護従業者養成研修」、全身性障害(車いす利用など)のある方を支援する場合は「全身性障害者ガイドヘルパー養成研修」を受講しなければなりません。それぞれの研修では、支援対象に応じた専門的な知識や技術を学ぶことになります。
このように、ガイドヘルパー資格は一つではなく、支援対象ごとに異なる研修を修了することで取得できます。希望する支援分野に合わせて、該当する養成研修を受講・修了することが必要です。
- 受講条件:一般的には特にありませんが、自治体によっては介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)以上の資格が必要な場合もあります。
- カリキュラム:一般的に20時間前後(全身性障害課程の場合)で、座学と実技演習が含まれます。
- 費用:2万円〜2万3,000円程度が相場です。所持資格によって一部科目が免除される場合もあります。
ガイドヘルパーの合格率
ガイドヘルパーの資格は、国家試験ではなく、各自治体や民間団体、福祉カレッジなどが実施する「養成研修」を修了することで取得できます。
この養成研修は、講義と実技実習を受け、最終的に修了判定(レポートや簡単なテスト)が行われますが、合格率は非常に高く、ほぼ100%に近いのが特徴です。
合格率が高い理由
- 研修の目的は「知識と技能の習得」であり、落とすための試験ではない
- 講義や実習で分からない点はその場で指導・補習が受けられる
- 欠席や課題未提出がなければ、ほとんどの受講者が修了できる
他の介護資格との比較
- 介護福祉士や社会福祉士など国家資格の合格率は、2025年の最新データで介護福祉士78.3%、社会福祉士56.3%と、ガイドヘルパー養成研修に比べて難易度が高いです。
- 初任者研修(旧ヘルパー2級)は合格率90%後半〜100%と、ガイドヘルパーと同様に非常に高い水準です。
ガイドヘルパー資格は、養成研修をきちんと受講し、課題を提出すればほぼ全員が合格できる資格です。国家試験のような難関ではなく、実務に必要な知識と技術を身につけることが重視されています。そのため、未経験者や福祉分野が初めての方でも安心して取得を目指せます。

ガイドヘルパーの合格点数
ガイドヘルパー(移動介護従事者)資格の「合格点数」については、国家試験のような点数基準は存在しません。ガイドヘルパー資格は、各自治体や指定研修機関が実施する「養成研修」を全て受講・修了することで取得でき、修了試験や筆記試験、合格点数の設定はありません。
- 修了試験・合格点数はなし
ガイドヘルパーの養成研修は、カリキュラムに沿って講義や実技を受講し、全日程を修了すれば資格が取得できます。筆記試験や実技試験、合格点数をクリアする必要はありません。 - 修了認定の方法
指定された全日程を欠席なく履修し、必要な課題やレポート(実施機関による)を提出すれば「修了」となり、修了証明書が交付されます。
例外・注意点
欠席や課題未提出がある場合は、振替受講や補講が必要となりますが、基本的に試験で点数を取る必要はありません
他の介護資格との違い
- 介護福祉士や社会福祉士などの国家資格は、筆記試験があり合格点(例:総得点の60%程度)が設定されています。
- ガイドヘルパーは「知識・技能の習得」を重視した研修型資格のため、点数による合否判定はありません。
ガイドヘルパー資格には合格点数や試験はなく、指定された研修をすべて修了することが取得の条件です。勉強が苦手な方や未経験者でも、研修をしっかり受講すれば安心して資格を取得できます。

ガイドヘルパーの受験料
受講料は2万円〜2万3,000円程度が一般的です。地域や研修機関によって異なる場合があります。
ガイドヘルパーの受験資格
基本的には誰でも受講可能ですが、自治体によっては介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)以上の資格が必要な場合があります。詳細は各自治体や研修機関に確認してください。

まとめ
ガイドヘルパーは、障害を持つ方の外出や社会参加を支援する重要な資格です。比較的短期間・低コストで取得でき、未経験者でも挑戦しやすいのが特徴です。1対1で利用者と向き合いながら、社会貢献度の高い仕事に携われる点が大きな魅力です。
給与水準は高くはありませんが、柔軟な働き方やキャリアアップの足がかりとしても有用です。取得を検討する際は、自治体ごとの要件や研修日程を事前に確認し、自分に合った働き方を見つけましょう。
よくある質問
Q.ガイドヘルパーの資格を取得したら履歴書に書けますか?
はい、履歴書に記載できます。修了した課程名を正確に記載しましょう。
Q.資格取得にかかる日数は?
一般的には2〜3日間で修了できます。カリキュラムや地域によって異なります。
Q.資格取得に年齢制限はありますか?
特に年齢制限はありませんが、自治体や研修機関によって条件が異なる場合があります。
Q.ガイドヘルパーの資格にはどんな種類がありますか?
特に年齢制限はありませんが、自治体や研修機関によって条件が異なる場合があります。
Q.独学で取得できますか?
できません。必ず指定の研修機関でカリキュラムを受講する必要があります。
Q.他の介護資格との違いは?
独学でも合格可能ですが、通信講座や対策講座を利用する人も多いです。過去問を繰り返し解くことが合格への近道です。
Q.介護福祉士の資格を持っているとどんな仕事ができますか?
ガイドヘルパーは移動支援に特化した資格で、他の介護資格(介護福祉士など)を持っていても、ガイドヘルパー養成研修を修了しなければ移動支援業務ができない地域もあります。

海野 和(看護師)
この記事の監修者情報です
2006年に日本消化器内科内視鏡技師認定証を取得し、消化器系疾患の専門的な知識と技術を習得。2018年にはNCPR(新生児蘇生法専門コース)の認定を取得し、緊急時対応のスペシャリストとしての資格を保有。さらにBLS(HeartCode®BLSコース)を受講し、基本的生命維持技術の最新知識を習得。豊富な臨床経験と高度な専門資格を活かし、医療・介護分野における正確で信頼性の高い情報監修を行っています。
【保有資格】
・日本消化器内科内視鏡技師認定証(2006年取得)
・NCPR(新生児蘇生法専門コース終了認定証)(2018年取得)
・BLS(HeartCode®BLSコース)受講済み
