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- けがや病気の後、日常生活の動作(食事・着替え・入浴など)を取り戻したい方
- 発達障害や高次脳機能障害などで、生活に支援が必要な方
- 心の病気によって社会参加や就労に不安を抱えている方
- 自分らしい生活や趣味活動を続けたいと考えている方
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作業療法士の仕事内容を分かりやすく解説
作業療法士は、病気や障がいで日常生活が困難になった方に対し、自分らしい生活を実現できるようリハビリを行う専門職です。仕事内容は多岐にわたり、運動や認知・精神機能を高める「基本的動作訓練」、食事・トイレ・家事など生活動作を改善する「応用的動作訓練」、仕事や学校、地域活動への参加をめざす「社会的適応訓練」が中心です。利用者の希望や状況を把握し、作業療法士が個別のプログラムを立案します。福祉用具の選定や住宅改修のアドバイスも行うほか、心理面のケアを含む幅広い支援が特徴です。医療機関、福祉施設、学校など活躍の場も広く、人それぞれの「したいこと」の実現をサポートします。

作業療法士の業務内容と役割
作業療法士は、日常生活や社会生活への適応を支援する専門職です。ここでは、作業療法士が担う具体的な業務内容と、その社会的役割について解説します。
作業療法士とは?理学療法士との違い
作業療法士とは、けがや病気、障がいによって日常生活が困難になった人に対して、「生活に必要な動作」ができるようサポートする専門職です。
一方で理学療法士は、「歩く」「立つ」などの基本的な身体機能の回復を主に支援します。作業療法士は、食事や着替え、仕事、趣味など日常生活全般を対象とするのが特徴です。
項目 | 作業療法士 | 理学療法士 |
---|---|---|
主な対象 | 日常生活動作(ADL) | 身体機能(移動・姿勢) |
支援内容 | 食事・更衣・家事・就労支援など | 歩行訓練・筋力強化・バランス訓練など |
活躍の場 | 病院、福祉施設、在宅、教育現場など | 主に病院、クリニック、施設など |
作業療法士は、身体だけでなく認知機能や精神面の支援も行い、対象者の「生活全体の質」を高めることを目的としています。
医療、福祉、教育、地域支援の現場など活躍の場は多岐にわたります。理学療法士と混同されやすいですが、支援のアプローチと対象領域に明確な違いがあります。
基本的動作・応用的動作・社会的適応とは
作業療法士の業務は、対象者の状態に応じて「基本的動作」「応用的動作」「社会的適応」の3つに大きく分けられます。基本的動作は、寝返り・起き上がり・立ち上がりといった日常生活の基盤となる動きです。応用的動作は、調理・掃除・買い物など、家庭や社会で求められる複雑な動作です。
社会的適応は、対人関係や社会参加への支援を指します。たとえば、職場や学校への復帰支援、地域活動への参加などが含まれます。作業療法士はこれらの能力を総合的に見極め、個別にリハビリプログラムを立て、実生活で困らないようサポートします。心身機能だけでなく「その人らしい生活」の実現を目指す点が特徴です。
- 応用的動作:料理、掃除、買い物、公共交通機関の利用など
- 社会的適応:職場復帰、学校復学、地域活動への参加支援など
福祉用具の指導や住環境の整備も行う理由
作業療法士は、身体機能の回復支援だけでなく、福祉用具の選定・指導や住環境の整備にも関わります。これは、日常生活での自立度を高めるための重要な支援です。
たとえば、車いす、歩行器、入浴補助具などの使用方法を指導したり、段差の解消や手すりの設置といった住宅改修のアドバイスを行ったりします。
こうした取り組みは、対象者が自宅で安全かつ快適に過ごすために欠かせません。また、環境調整は身体的な負担軽減にもつながり、再発予防の観点からも有効です。
単に訓練するだけでなく、「生活の場」での実用性を考えた支援ができるのは作業療法士ならではの役割です。
分類 | 具体例 |
---|---|
福祉用具の例 | 車いす、歩行器、リーチャー、シャワーチェア、浴槽ボード、補高便座 |
住環境整備の例 | 段差の解消、手すりの設置、滑り止めマット、引き戸化 |
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作業療法士の活躍の場と対象者
作業療法士は医療現場だけでなく、福祉・介護・教育・司法領域まで幅広く活躍しています。ここでは、作業療法士が働く主な職場と、支援対象となる人々の特徴やニーズについて解説します。
病院・福祉・介護・教育・司法など多様な職場
作業療法士の活躍の場は多岐にわたります。もっとも一般的なのは病院で、急性期から回復期、慢性期に至るまで各段階で機能回復や生活支援を行います。福祉施設では、高齢者や障がい者の日常生活の自立を支援し、介護施設ではリハビリだけでなく認知症予防や生活環境の整備にも関与します。
教育現場では発達障害や学習障害を抱える子どもに対し、学習や生活スキルの支援を提供します。また、矯正施設など司法領域では、非行や犯罪歴を持つ人の社会復帰支援にも従事します。このように作業療法士は「生活の専門家」として、医療から地域社会まで多様な現場で必要とされています。
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作業療法士が活躍する職場【転職・就職先】
作業療法士は医療機関だけでなく、福祉施設や介護施設、教育現場、さらには司法領域まで幅広く活躍できます。
対象となる人の年齢や障がいの種類によって支援内容が異なり、それぞれの現場で専門性を発揮しながら社会参加や生活の質向上に貢献しています。
ここでは、作業療法士が実際に活躍する代表的な職場について解説するのでぜひチェックしてみてください。
病院:急性期・回復期・慢性期
病院に勤務する作業療法士は、病気やけがの治療過程に応じて役割が異なります。急性期では、入院直後の対象者に対して早期離床を促し、合併症を防ぐための基本的な訓練を行います。
回復期では、退院後の生活を見据えた日常生活動作(ADL)訓練や家事動作練習を中心に支援することが特徴です。
慢性期や終末期では、残存機能を最大限に活かした生活維持やQOL(生活の質)向上を目指したリハビリが中心です。医師や理学療法士、看護師と連携し、者の社会復帰を支える役割を担います。
福祉施設:障がい者支援施設など
障がい者支援施設など福祉領域での作業療法士は、利用者一人ひとりの特性に合わせて生活リズムの安定や作業活動の支援を行います。
たとえば、手工芸や農作業といった作業活動を通じて集中力や社会性を養う支援を行ったり、余暇活動を取り入れて生活の幅を広げたりします。
就労継続支援の現場では、職業訓練や作業能率の評価を担当することもあるでしょう。社会参加を促進し、利用者が自分らしい生活を送れるように支援するのが大きな役割です。
介護施設:特別養護老人ホームなど
特別養護老人ホームなどの介護施設で働く作業療法士は、高齢者の生活を支える専門職として重要な役割を担います。主な業務は、認知症ケアや転倒予防を目的とした運動・生活リハビリの実施です。
また、車いすやベッドの位置、手すりの設置など生活環境の調整を行い、利用者が安全かつ快適に過ごせるよう支援します。
レクリエーション活動を通じて心身の活性化を図るほか、介護スタッフや家族へのアドバイスも行うため、施設全体のケアの質向上に大きく貢献します。
教育機関:特別支援学校など
特別支援学校や教育機関に勤務する作業療法士は、発達障がいや身体障がいを持つ子どもを対象に、学習や日常生活スキルを支援します。
たとえば、鉛筆の持ち方や姿勢の指導、感覚統合療法を用いた集中力・運動能力の改善などが挙げられます。
また、遊びを通じて対人関係や社会性を育むことも大切な役割です。教員や保護者と協力しながら子どもの成長を多角的に支援するため、教育現場における専門性の高いサポート役として期待されています。
司法領域:少年院・更生施設など
司法領域で活躍する作業療法士は、非行少年や受刑者などを対象に、社会復帰を目指したリハビリ支援を行います。具体的には、感情コントロールや対人スキルの向上、役割の再獲得を目的としたプログラムを実施します。
作業活動を通じて「働く経験」や「集団生活での協調性」を身につける機会を提供し、社会復帰後の再適応を促します。
医療・福祉だけでなく司法分野においても作業療法士の専門性が活かされており、再犯防止や更生支援の一端を担う重要な存在です。

作業療法士が支援する対象者
作業療法士が支援する対象者は、年齢や疾患、障がいの種類によってさまざまです。たとえば、脳卒中後の後遺症で日常生活が困難になった高齢者や、発達障がいを抱える子ども、うつ病や統合失調症の方、認知症の方などが挙げられます。
共通するのは「生活に支障をきたしていること」であり、身体機能の回復だけでなく、社会参加や役割の再獲得といった視点が大切です。
たとえば、家事ができるようになりたい、職場に復帰したい、地域活動に参加したいといったニーズに対し、個別に対応します。
作業療法士は対象者の“したいこと”や“できること”を引き出し、その実現に向けた支援を行うのが特徴です。
対象者の例 | 主な支援内容 |
---|---|
脳卒中後の高齢者 | 更衣・入浴などの日常生活動作訓練 |
発達障がいを持つ子ども | 集中力トレーニング、感覚統合遊びなど |
認知症の方 | 認知機能維持、生活習慣の見直し |
精神障がいのある方 | 社会技能訓練、就労支援 |
事故・けがの後遺症のある方 | 生活環境調整、道具の適応訓練 |
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作業療法士の仕事と法律・制度の関係
作業療法士の仕事は、医療や福祉の制度と深く関わっています。法制度の理解は、適切なサービス提供や支援に欠かせません。ここでは作業療法士と関係の深い医療保険・介護保険、障がい者総合支援法などについて解説します
医療保険・介護保険との関わり
作業療法士は、医療保険や介護保険の制度を活用しながら、対象者や利用者にリハビリテーションを提供しています。たとえば、病院でのリハビリは医療保険の対象となり、退院後の在宅リハビリは介護保険を通じてサービスが提供されることが多いです。
- 医療保険:急性期の病院リハビリ(例:脳梗塞後の機能回復訓練)
- 介護保険:要介護認定後の在宅リハビリ(例:訪問リハビリテーション)
- 両制度の違い:対象者・提供期間・報酬基準が異なる
これらの制度を適切に理解していないと、必要な支援が受けられなかったり、過剰な請求が発生したりするリスクもあります。作業療法士には、診療報酬や介護報酬の仕組み、対象となる疾患やサービス内容の制限などについても一定の知識が求められます。
保険制度の動向や改定にも目を向け、制度に沿った実践を行うことが信頼される専門職として大切です。
障がい者総合支援法や福祉制度と作業療法
障がい者総合支援法は、障害をもつ人々が地域で自立した生活を送るための支援を行う法律で、作業療法士の活動範囲にも大きく関係します。この法律に基づき、就労支援や生活訓練などのサービスが提供されており、作業療法士は評価・助言・訓練などの役割を担います。
特に精神障害や発達障害を抱える方への支援では、作業療法士の専門的な知見が重宝されています。
また、市町村が実施する地域生活支援事業や障害福祉サービスも対象となるため、制度全体の流れを把握しておくことが大切です。福祉制度の理解は、利用者のニーズを的確にとらえ、長期的な支援計画を立てるうえで欠かせない要素です。
支援内容 | 主なサービス | 作業療法士の関与例 |
---|---|---|
生活訓練 | 自立訓練(機能訓練) | 家事動作や対人スキルの指導 |
就労支援 | 就労移行支援、就労継続支援 | 作業評価・職場適応訓練 |
地域生活支援 | 移動支援、コミュニケーション支援 | 外出訓練や意思伝達手段の助言 |

作業療法士のやりがいと魅力
作業療法士の仕事には、専門的な知識や技術を活かしながら、人の生活を支える深い喜びがあります。ここでは、「できない」を「できる」に導く感動や、対象者となる方一人ひとりの生活に寄り添う中で感じられるやりがいについて解説します。
「できない」を「できる」に変える喜び
作業療法士のやりがいの一つは、支援を通じて「できなかったこと」が「できるようになる」瞬間に立ち会えることです。たとえば、手術や病気の後で箸が持てなくなった方が、訓練を経て自分で食事ができるようになる。あるいは、寝たきりだった高齢者がベッドから車いすに移れるようになる。
こうした変化は、本人にとっての大きな自信となり、QOL(生活の質)向上にもつながります。作業療法士は、対象者の「こうなりたい」という希望に寄り添い、機能回復だけでなく社会的役割の再獲得も支援します。その過程に立ち会えることは、大きな達成感とモチベーションにつながります。
作業療法士の支援で「できるようになった」事例
- 麻痺のある方が、補助具を使って食事を自分で取れるようになった
- 寝たきりの高齢者が、車いすへの移乗ができるようになった
- 認知症の方が、簡単な家事を再び行えるようになった
- 精神疾患のある方が、通院や買い物を一人でできるようになった
対象者になる方の生活に寄り添うリハビリのやりがい
作業療法士は、単なる運動訓練だけでなく、対象者の「生活全体」に深く関わる職種です。たとえば、どのような服を着たいか、どこで暮らしたいか、趣味を再開したいかといった思いに寄り添い、生活の再構築を支援します。
医師や看護師、ケアマネジャーなどと連携しながら、その人らしい日常を取り戻すお手伝いをすることは、作業療法士ならではの魅力です。
また、地域や在宅での支援も増えており、家族と一緒に生活環境を整えることや、本人が望む生活スタイルを実現するための工夫をする場面も多くあります。技術以上に人間理解や共感力が求められる点も、この仕事の奥深さとやりがいにつながります。
利用者の目標例 | 作業療法士の支援内容 |
---|---|
外出して買い物に行きたい | 歩行訓練、交通機関利用の練習、買い物の模擬練習など |
一人で入浴できるようになりたい | 浴室動作訓練、手すり設置の提案、補助具の選定 |
以前の趣味(手芸)を再開したい | 手の巧緻動作訓練、道具の工夫、作業活動プログラムの提案 |
地域のサロンに通いたい | 社会的適応訓練、対人コミュニケーションの支援 |

作業療法士に向いている人の特徴
作業療法士として活躍するためには、専門知識や技術だけでなく、人との関わり方や問題解決の柔軟性も大切です。ここでは、作業療法士に向いている人の特徴として、「人と関わる力」と「科学的思考・柔軟性」の両面から解説します。
人との関わりを大切にできる人
作業療法士は、対象者本人はもちろん、家族や医療・福祉関係者など多くの人と関わりながら支援を進める仕事です。そのため、人との関係を築く力や、相手の話に耳を傾ける姿勢がとても大切です。
特に、相手の気持ちに寄り添いながら「どうしたらその人らしい生活を取り戻せるか」を考え続ける共感力や傾聴力が求められます。また、高齢者や障がいのある方、精神的に不安定な方など、支援を必要とする人の背景は多様です。
柔らかなコミュニケーションが取れることは、信頼関係の構築やリハビリの効果にも直結します。人と丁寧に向き合う姿勢は、作業療法士に向いている重要な資質のひとつです。
作業療法士に求められる対人スキル
- 傾聴力:相手の話を丁寧に聞き取り、意図をくみ取る力
- 共感力:感情や背景に寄り添い、相手の立場に立って考える力
- 柔軟な対応力:年齢・性別・障がいの有無など多様な対象者への対応力
- チーム連携力:医師や看護師、介護職など他職種と協力できる力
- 説明力:難しい内容を分かりやすく伝える力
科学的視点と柔軟な発想力が求められる理由
作業療法士の支援は、単に動作を訓練するだけではなく、なぜその動作が困難なのか、どうしたら改善できるのかを論理的に考える必要があります。そのため、解剖学や生理学、心理学などに基づいた科学的な視点が求められます。
たとえば、同じ「着替えが難しい」という悩みでも、原因は身体の可動域制限なのか、認知の問題なのか、環境の影響なのかを見極める力が必要です。
一方で、限られた環境や条件の中で対象者の生活を支えるためには、既存の手法にとらわれない柔軟な発想力も大切です。科学と創造のバランスを取りながら、個別性の高い支援を実践する姿勢が、作業療法士に求められる資質の一つです。
必要な視点・能力 | 活用される場面の例 |
---|---|
解剖学・生理学の知識 | 筋力・関節可動域の評価、動作訓練の設計 |
認知機能の理解 | 認知症・高次脳機能障害のリハビリ設計 |
問題解決型の思考力 | 環境因子(段差・動線)や生活習慣への対応策の立案 |
柔軟な発想力 | 限られた道具やスペースで工夫した訓練方法を考案 |
エビデンスに基づいた判断力 | リハビリ内容の選択と説明責任を持った実施 |

作業療法士の平均年収・給料
作業療法士の平均年収は厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、約444万円と報告されており、医療技術者の中では中堅的な水準です。
勤務先は病院やリハビリ施設を中心に、障がい者施設や介護施設、在宅分野まで幅広く、雇用は安定しています。
平均労働時間や有料求人倍率
平均労働時間は月159時間で夜勤は少なく、ワークライフバランスが取りやすい環境です。
人口の高齢化によりリハビリの需要は今後も高まり、有効求人倍率は4.26と人材不足が顕著な状況にあります。
項目 | 数値・内容 |
---|---|
平均年収 | 約444.2万円 |
平均月労働時間 | 159時間 |
平均年齢 | 35.5歳 |
求人月額賃金 | 約26.3万円 |
有効求人倍率 | 4.26 |
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作業療法士の認定・専門資格とキャリアアップ
作業療法士は国家資格取得後も、スキルアップや専門性の向上を目的に、さまざまな研修や認定資格に挑戦することでキャリアアップが可能です。
代表的な資格には、日本作業療法士協会が認定する「認定作業療法士」や、特定の領域で高い専門性を証明する「専門作業療法士」などがあります。
これらの資格は、実務経験や研修受講、研究実績など一定の要件を満たすことで取得可能です。資格取得により、リーダー職や教育担当、管理職などにステップアップするケースも多く、年収アップや職域の拡大にもつながります。
また、リハビリ特化型病院や地域包括ケア分野でのニーズが高まっており、専門分野を持つことがキャリア形成において強みになります。
代表的なキャリアアップ資格
資格・学歴 | 概要・メリット |
---|---|
認定作業療法士(日本作業療法士協会) | 経験年数や研修受講が条件。リーダー職・教育係などキャリアアップに有利。 |
専門作業療法士(身体障害・精神障害・地域・発達など) | 各領域での高い専門性を証明できる資格。臨床での評価が高い。 |
介護支援専門員(ケアマネジャー) | 地域包括支援センターなどでケアマネ業務に従事可能。職域が広がる。 |
福祉住環境コーディネーター | 在宅リハや住宅改修に関する知識を体系的に学べ、住環境整備に役立つ。 |
大学院修了(修士・博士) | 教育・研究職や大学教員、病院の管理職など高度専門職への道が開ける。 |
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作業療法士になるには
作業療法士になるには、まず国家試験に合格して免許を取得する必要があります。そのためには、厚生労働大臣が指定した養成校で3年以上学び、専門知識と技能を修得しなければなりません。就職後も研修や学会を通じて学び続ける姿勢が求められます。
以下では、作業療法士になるための方法や国家資格取得に向けた具体的な流れ、学歴について解説します。
国家資格取得までの流れと必要な学歴
作業療法士になるためには、厚生労働大臣指定の養成校(大学、短大、専門学校など)で3年以上の専門課程を修了し、国家試験に合格する必要があります。受験資格は、養成校の卒業と必要単位の取得が前提です。
国家試験は年1回、毎年2月頃に実施されており、試験科目には解剖学や生理学、精神医学、作業療法学など幅広い分野が含まれます。
合格率は例年70〜85%程度と比較的高い傾向にありますが、基礎知識だけでなく臨床実習での実践力も重要視されます。
また、社会人入学制度や夜間課程を設けている学校もあり、多様な進路が存在します。高校卒業後にすぐ目指すケースもあれば、社会人からの転職者も一定数います。
学歴別の就業者割合(目安)
学歴 | 割合 |
---|---|
専門学校卒 | 66.0% |
短大卒 | 0.0% |
高専卒 | 2.1% |
大卒 | 68.1% |
修士課程卒 | 10.6% |
博士課程卒 | 4.3% |
その他・不明 | 2.1% |
※作業療法士(OT) - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)より、作業療法士で実際に働いている人が多いと感じる『学歴』を表しています。詳細は作業療法士(OT) - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)をご確認ください。
作業療法士は専門学校や大学卒が中心であり、修士・博士課程に進んで研究や教育職に進む人もいます。幅広い学歴層が存在しますが、いずれも国家試験の合格が必須条件です。
入職前の訓練期間(学歴を除く)
訓練期間に関しては「必要ない」と答える人もいますが、実際には3年以上の臨床経験を積みながら力を伸ばす人が多いのが特徴です。とくに3〜5年かけてスキルを磨く割合が最も高く、継続的な学びが重視される職業といえます。
訓練期間 | 割合 |
---|---|
特に必要ない | 25.5% |
1か月超~6か月以下 | 10.6% |
6か月超~1年以下 | 6.4% |
1年超~2年以下 | 4.3% |
2年超~3年以下 | 10.6% |
3年超~5年以下 | 31.9% |
その他・不明 | 10.6% |
作業療法士になるまでの基本ステップ
- 高校卒業(または同等の資格取得)
- 指定養成校(大学・短大・専門学校)に入学(3年以上)
- 学内講義・演習+臨床実習の単位取得
- 国家試験の受験資格を取得
- 国家試験に合格し、厚生労働省に登録
- 作業療法士として就職・実務開始
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作業療法士の養成校について
作業療法士を養成する教育機関には、主に4年制大学、3年制短期大学、3〜4年制の専門学校があります。大学では一般教養に加えて研究活動や地域リハビリテーションなども学ぶ機会が多く、将来的に教育職や研究職を目指す人に適しています。
一方、専門学校や短期大学は実践重視のカリキュラムが多く、比較的短期間での国家試験合格を目指す人に向いています。
どの学校も、解剖学や運動学、臨床心理学、作業療法評価学、治療技術論などの基礎から応用まで幅広く学ぶ点は共通です。
また、臨床実習では実際の病院や施設に赴き、利用者との関わりを通じて実務力を養うことが求められます。カリキュラムの実践性と理論のバランスが大切です。

まとめ
作業療法士は、けがや病気、障がいなどで生活に困難を抱える人々を支援する専門職です。
病院や介護施設、教育現場、司法領域など幅広い職場で活躍し、福祉用具の指導や住環境の整備も行います。
国家資格取得には養成校での学びと国家試験合格が必要で、平均年収は約444万円と安定しています。
認定・専門資格や大学院進学によるキャリアアップも可能です。生活に寄り添い「できない」を「できる」に変えるやりがいある仕事だと言えるでしょう。
よくある質問
Q.文系出身でも作業療法士になれますか?
文系出身でも作業療法士になることは可能です。国家試験の受験資格は「厚生労働大臣指定の養成施設で3年以上の専門教育を修了すること」が条件であり、入学時の学部や系統は問いません。
実際、大学の文系学部を卒業した後に専門学校へ進学する社会人や、再進学で夜間課程を選ぶ方もいます。ただし、解剖学や生理学などの医療系科目は理系色が強いため、文系出身者には最初ややハードルが高く感じられるかもしれません。
そのため、基礎からしっかり学べるカリキュラムを持つ養成校を選ぶことがポイントです。予備知識がなくても、努力次第で十分に追いつける環境は整っていますので、意欲があれば道は開けます。
Q.作業療法士の将来性は?
作業療法士は今後も高い需要が見込まれている職種の一つです。厚生労働省「第8次医療計画」では、リハビリ職全体の増員が求められており、特に高齢化が進む日本では、生活支援や在宅リハビリの重要性が高まっています。
また、介護保険制度における訪問リハビリや通所リハビリなどの役割も増えており、医療機関だけでなく、地域包括ケアや介護施設での活躍の場も広がっています。
さらに、精神障がいや発達障がい、就労支援といった分野でも作業療法士の専門性が注目されています。
今後は、地域医療・福祉の中核としての役割を果たす存在として、ますます必要とされる職種といえるでしょう。
Q.作業療法士はどんな人が向いている職業ですか?
作業療法士に向いているのは、相手の立場に立って物事を考えられる「共感力」のある人です。対象者の生活全体を支援するためには、丁寧に話を聞き取り、心身両面の状態を理解する力が求められます。
また、課題の原因を分析し、それに合ったリハビリを工夫して提供する必要があるため、「問題解決力」と「柔軟な発想」も重要な資質です。さらに、多職種と連携しながら支援を進めるため、チームでの協調性やコミュニケーション力も欠かせません。
専門知識や技術だけでなく、人と関わる姿勢や考え方が大切にされる職業ですので、「人の役に立ちたい」という思いがある方には、非常にやりがいのある仕事です。
Q.言語聴覚士と作業療法士の違い
言語聴覚士(ST)は、ことば・聞こえ・発声や飲み込み(嚥下)などの機能を専門に扱い、失語症や吃音、難聴、嚥下障害のある人に対して訓練や指導を行います。一方、作業療法士(OT)は、食事・着替え・入浴などの日常生活動作や仕事・趣味などの活動を通じて身体機能や精神面の回復、社会参加を支援します。STは主に「話す・聞く・食べる」を対象にし、OTは「生活全般の自立」を目指す点が大きな違いです。
出典:関西福祉科学大学 言語聴覚士・作業療法士の仕事内容や違いとは?

海野 和(看護師)
この記事の監修者情報です
2006年に日本消化器内科内視鏡技師認定証を取得し、消化器系疾患の専門的な知識と技術を習得。2018年にはNCPR(新生児蘇生法専門コース)の認定を取得し、緊急時対応のスペシャリストとしての資格を保有。さらにBLS(HeartCode®BLSコース)を受講し、基本的生命維持技術の最新知識を習得。豊富な臨床経験と高度な専門資格を活かし、医療・介護分野における正確で信頼性の高い情報監修を行っています。
【保有資格】
・日本消化器内科内視鏡技師認定証(2006年取得)
・NCPR(新生児蘇生法専門コース終了認定証)(2018年取得)
・BLS(HeartCode®BLSコース)受講済み
