施設

軽費老人ホームとは?費用や入居条件、サ高住・養護老人ホームとの違いも解説【A型・B型・ケアハウス】

白が基調のリビングに車椅子もある様子

軽費老人ホームは、「一人暮らしが少し不安」「介護施設に入るほどではないけれど、食事や生活のサポートがほしい」「生活保護受給者でも入所できる施設はないかな...」という方に推奨されます。

自立した生活を続けながら、食事提供や生活相談などの支援を受けられる福祉施設で、費用も比較的抑えられています。


この記事では、軽費老人ホームの仕組みや入居条件、費用、介護保険の利用可否、申し込み方法までわかりやすく解説します。A型・B型・ケアハウス・都市型など種類別の特徴や、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)、養護老人ホームとの違いもまとめました。

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地域密着型老人福祉施設の建物
01

軽費老人ホームとは?厚生労働省の定義

軽費老人ホームは、ひとり暮らし等で自立生活に不安がある高齢者が、原則として定額な料金設定で「食事提供・入浴準備・生活相談・緊急時対応」など日常生活の便宜を受けながら暮らせる公的支援型の住まいです。

厚生労働省が公表する「養護⽼⼈ホーム・軽費⽼⼈ホームについて」では、以下のように定義されています。

軽費老人ホーム・ケアハウスの定義

軽費老人ホーム・ケアハウスは、無料又は低額な料金で、老人を入所させ、食事の提供その他日常生活上必要な便宜を供与することを目的とする施設です。

引用:養護⽼⼈ホーム・軽費⽼⼈ホームについて|厚生労働省

制度上はA型・B型・ケアハウス(C型)に区分され、2008年以降はケアハウスを中心に整備が進み、A/B型は既存施設のみが経過的に存続しています。都市部には「都市型軽費」という小規模類型もあります。

特定施設入居者生活介護の指定を受けたケアハウスでは、要支援〜要介護の方まで、ケアプランに基づく介護サービス(入浴・排せつ・食事、見守りなど)が一体的に提供されます。

出典:養護⽼⼈ホーム・軽費⽼⼈ホームについて|厚生労働省
出典:特定施設入居者生活介護|厚生労働省

characteristics特徴
02

軽費老人ホームの種類と特徴【A型・B型・ケアハウス・都市型】

軽費老人ホームには、入居者の生活自立度や介護ニーズに応じて複数のタイプがあります。

代表的なものは、A型・B型・ケアハウス(軽費)・ケアハウス(特定施設)・都市型軽費の5種類です。

それぞれ対象者や提供サービス、費用、介護保険の利用方法が異なるため、特徴を理解して選ぶことが大切です。

類型

対象のめやす

生活支援

食事

介護保険の使い方

新設可否の現状

特徴

A型

自立生活に不安・家族援助が困難

入浴準備/相談/緊急対応など

あり

外部居宅サービス併用可

新設なし(経過的存続)

「低額+食事付き」。既存施設中心

B型

A型条件+自炊が可能

入浴準備/相談/緊急対応など

自炊

外部居宅サービス併用可

新設なし(経過的存続)

食事提供がないぶん比較的低コスト

ケアハウス(軽費)

身体機能低下で自立に不安/家族援助困難

入浴準備/相談/緊急対応など

あり

外部居宅サービス併用可/※

新設可

原則個室・バリアフリー、地域に多い主流類型

ケアハウス(特定施設)

要支援〜要介護

上記+介護サービス一体提供

あり

特定施設入居者生活介護(施設内で介護提供)

新設可

自立〜要介護まで幅広い受け入れ

都市型軽費

都市部の低所得高齢者(定員20人以下)

入浴準備/相談/緊急対応など

あり

外部居宅サービス併用可

新設可

小規模・既成市街地想定で整備しやすい

※ケアハウス(軽費)は、必要に応じて訪問介護等の外部サービスを併用。
※法令根拠:老人福祉法第20条の6、各「軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準」、介護保険法第8条11項(特定施設入居者生活介護)。
出典:軽費老人ホーム 高齢・介護|WAM NET(ワムネット)
出典:養護⽼⼈ホーム・軽費⽼⼈ホームについて|厚生労働省

【A型】食事付き・生活支援型

A型は、自立生活に不安があり家族の援助を受けにくい高齢者を対象とした施設です。入居一時金は不要で、低額な費用で食事の提供や入浴準備、生活相談、緊急時対応などの支援を受けられます。

介護が必要になった場合は、外部の介護保険サービスを併用できます。2008年以降は新規設立が行われず、現在は既存施設のみが経過的に存続しています。

項目

内容

対象者

自立生活に不安のある高齢者(家族支援が困難)

主な支援

食事提供、入浴準備、生活相談、緊急対応

介護保険

外部の居宅サービスを併用可能

費用目安

月6〜10万円前後(所得に応じて変動)

新設

不可(既存施設のみ)

【B型】自炊型・自立度高め

B型は、自立生活に不安があるが自炊が可能な高齢者を対象としています。食事は自炊が基本で、入浴準備や生活相談、緊急対応などのサポートを受けながら生活できることが特徴です。

A型よりも費用を抑えられる傾向があります。新規設立は停止されており、A型同様、既存施設のみが存続しています。

項目

内容

対象者

家族援助が困難な自立高齢者(自炊可能)

主な支援

入浴準備、生活相談、緊急対応(食事は自炊)

介護保険

外部サービスを併用可能

費用目安

月4〜7万円前後

新設

不可(既存施設のみ)

【ケアハウス】軽費

ケアハウスは、身体機能の低下により自立生活に不安がある高齢者を対象にした施設です。

食事や生活支援に加え、原則個室のバリアフリー設計で安心して暮らせます。要支援・要介護となった場合は、外部の訪問介護や通所介護などの介護保険サービスを利用できます。全国的に最も整備が進む主流タイプです。

項目

内容

対象者

自立〜要支援の高齢者(家族援助が困難)

主な支援

食事提供、入浴準備、生活相談、緊急対応

介護保険

外部サービスを併用可能

居室

原則個室(バリアフリー)

費用目安

月7〜12万円前後

新設

可能

【ケアハウス】特定施設入居者生活介護

介護保険法に基づく「特定施設入居者生活介護」の指定を受けたケアハウスです。

要支援〜要介護の方を対象に、ケアプランに基づき、入浴・排せつ・食事などの介護を施設内で一体的に提供します。外部サービスを利用せず、施設内で完結した介護体制が特徴です。

項目

内容

対象者

要支援〜要介護の高齢者

主な支援

食事・入浴・排せつ・生活支援・見守り

介護保険

施設内で介護保険サービスを提供

居室

個室中心(介護設備あり)

費用目安

月9〜15万円前後(介護度に応じ変動)

新設

可能(自治体指定による)

【都市型軽費老人ホーム】

都市部(東京23区・大阪市など)で高齢者が入居しやすいように整備された新しいタイプです。

定員20人以下・居室面積基準の緩和により、住宅事情の厳しい地域でも設置しやすくなっています。食事や生活支援はA型に近く、介護が必要な場合は外部の介護保険サービスを利用します。

項目

内容

対象者

都市部で自立生活に不安がある高齢者

主な支援

食事提供、生活相談、緊急対応など

介護保険

外部の居宅サービスを併用可能

定員

20名以下

費用目安

月6〜10万円前後

新設

可能(知事指定施設)

出典:都市型軽費老人ホームの概要|福祉・保健・医療情報 - WAM NET(ワムネット)

青い空と植木が特徴の建物
03

軽費老人ホームに入居できる人の条件【入居条件・対象者】

軽費老人ホームに入居できる人の条件として、年齢や所得、生活状況、心身の状態などが挙げられ、詳細は自治体や施設によって異なります。ここでは、制度上の基準と、実際の入居者の特徴を整理して解説します。

入居対象となる基本条件(共通)

軽費老人ホームは、「老人福祉法」第20条の6に基づき、自立した日常生活に不安のある高齢者を対象としています。

A型・B型・ケアハウス(軽費)・都市型などの類型にかかわらず、基本的な条件は以下の通りです。

条件

内容

年齢

原則60歳以上(夫婦でいずれかが60歳以上であれば可)

生活状況

家族による援助を受けにくく、自立生活に不安がある

所得

市町村民税非課税世帯または低所得者

健康状態

自立または要支援程度(特定施設型は要介護も可)

契約能力

施設と入居契約を締結できる意思能力を有すること

A型・B型は既存施設のみで新規募集が少なく、ケアハウス型が主流となっています。

介護度・心身の状態による違い

軽費老人ホームの多くは、自立または要支援の方を対象としていますが、ケアハウス(特定施設)では要介護者も入居できます。

類型

対象介護度

特徴

A型・B型・都市型

自立〜要支援

外部の介護保険サービスを併用して生活支援を受ける

ケアハウス(軽費)

自立〜要支援

訪問介護・通所介護などを利用可能

ケアハウス(特定施設)

要支援〜要介護

施設内で特定施設入居者生活介護を一体的に提供

介護ニーズが高い場合は、特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームの検討も必要です。

家族環境・住宅事情による考慮

入居対象には、家族との同居が困難・虐待・経済的困窮などの背景を持つ方も含まれます。主な対象例は以下の通りです。

  • 単身で身寄りがなく、支援を受けられない高齢者
  • 家族と同居しているが、援助が期待できない場合
  • 経済的に困難で、民間賃貸への入居が難しい場合
  • 虐待・孤立などのリスクが高い場合

こうしたケースでは、自治体の福祉課や地域包括支援センターからの紹介により入居が調整されることがあります。

1.から5.までの内訳と書かれた方眼紙
04

軽費老人ホームの費用の目安と内訳、介護保険適用の有無

ここでは、軽費老人ホームの費用構成と月額の目安、介護保険の利用可否を解説します。

軽費老人ホームは、入居一時金が不要で、生活費とサービス提供費を合計した月額負担となります。費用は施設の種類や所得により異なり、低所得・非課税世帯でも利用しやすい制度設計になっています。

費用の内訳

軽費老人ホームの費用は、主に以下の5項目で構成されます。

費用項目

内容

備考

① サービス提供費

生活支援・相談・緊急対応など

施設によって金額が異なる

② 生活費

食費・光熱水費(共用部分)など

自炊型B型は少額、A型・ケアハウスは食事提供あり

③ 居住費

管理費・家賃

ケアハウスは別途管理費が必要

④ その他

個人の光熱費・医療費・理美容費など

自己負担

⑤ 介護保険サービス費

要支援・要介護の場合に利用

本人1〜2割負担(非課税世帯は軽減あり)

施設タイプ別の月額費用目安

施設種別

月額費用の目安

所得・条件

軽費老人ホームA型

約6.5万〜15万円前後

所得に応じて変動

軽費老人ホームB型

約4万円前後

自炊型・比較的低額

都市型軽費老人ホーム

約9万円〜15万円前後

都市部に多い小規模型

ケアハウス(軽費)

約9万円〜15万円前後

介護保険併用可

ケアハウス(特定施設)

各施設・要介護度による

介護サービス費を含む

※各費用には「食費・管理費・サービス費」を含みます。
※介護保険適用の有無により月額が変動します。

介護保険の適用

軽費老人ホームでは、原則として介護保険サービスの外付け利用が可能です。

要支援・要介護認定を受けた場合、訪問介護や通所介護などの在宅サービスを組み合わせて利用します。

施設種別

介護保険の利用

備考

A型・B型・ケアハウス
(軽費)

利用可
(外部サービス)

ケアプランに基づき個別契約

ケアハウス(特定施設)

利用可
(特定施設入居者生活介護)

施設内で一体的に提供

※介護保険サービスの自己負担は1〜2割(所得により3割)
※生活保護受給者は介護扶助により自己負担免除可

Section Image
05

軽費老人ホームで受けられるサービス

軽費老人ホームでは、自立した生活に不安を抱える高齢者が、必要な支援を受けながら落ち着いた生活を続けられるよう、日常生活に関わる多様なサービスが提供されています。

施設の種類(A型・B型・ケアハウスなど)によって提供内容に差はありますが、共通して「食事」「生活支援」「相談援助」「健康管理」などの基本サービスを受けられます。

主なサービス内容(共通)

軽費老人ホーム全体に共通する基本的なサービスは以下の通りです。

サービス項目

内容

食事の提供

A型・ケアハウスなどで1日3食を提供。栄養バランスに配慮した献立を提供。

入浴支援

浴室の準備、入浴時の安全確認、必要に応じた見守りや軽度の介助。

相談・援助

生活上の困りごとや健康面、福祉制度の利用などの相談に対応。

健康管理

定期的な健康チェック、体調変化の観察、医療機関との連携。

緊急時対応

体調不良・転倒・事故時などの通報、救急搬送対応。

社会生活支援

レクリエーションや地域交流、趣味活動などの実施。

これらは「老人福祉法」第20条の6および「軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準」に基づいて実施されます。

A型・B型・ケアハウスによるサービスの違い

施設タイプにより、提供されるサービスの範囲や方法が異なります。

種類

サービスの特徴

A型

食事提供あり。入浴準備・緊急時対応・相談援助など生活支援が充実。

B型

自炊が前提。生活相談・入浴準備など最低限の支援を実施。

ケアハウス(軽費)

食事・生活支援・見守りに加え、要介護時は外部介護サービスを併用。

ケアハウス(特定施設)

介護職員常駐。入浴・排せつ・食事介助など介護保険サービスを一体的に提供。

都市型軽費

小規模運営。生活支援・相談援助を中心に、低額で日常生活を支援。

介護保険サービスとの併用

軽費老人ホーム自体は介護保険施設ではありませんが、要支援・要介護認定を受けた方は外部サービスを利用可能です。

主な併用可能サービス

  • 訪問介護(ホームヘルプ)
  • 通所介護(デイサービス)
  • 訪問看護・訪問入浴
  • 福祉用具貸与・住宅改修 など

また、「特定施設入居者生活介護」の指定を受けているケアハウスでは、施設内で介護サービスを包括的に提供できます。

レクリエーション・地域交流活動

軽費老人ホームでは、生活の質(QOL)向上や孤立防止を目的に、社会参加の機会が提供されています。

  • 季節の行事(花見・敬老会など)
  • 趣味活動(手芸・書道・カラオケ)
  • 地域住民との交流イベント
  • ボランティアによる文化活動

これらの活動は、心身の活性化や社会的つながりの維持に役立ちます。

医療・福祉機関との連携

施設内での医療行為は限定的ですが、外部機関と連携し、必要な支援を受けられます。

  • 定期健康診断の実施(提携医療機関)
  • 体調急変時の受診・搬送支援
  • 地域包括支援センター・ケアマネジャーとの情報共有
  • 福祉・介護サービスとの連携調整

このように、軽費老人ホームは「自立支援+必要なサポートが受けられる住まい」として、多角的な支援体制を整えています。

浴室と風呂の様子
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軽費老人ホームの設備内容

軽費老人ホームは、高齢者が自立した生活を続けながら必要な支援を受けられる居住施設として、法令に基づいた設備基準が定められています。

居室や共用部、バリアフリー設計など、安全性と快適性を両立した住環境が整備されており、リラックスして生活できるよう設計されています。ここでは、共通設備と種類ごとの特徴を整理して紹介します。

共通設備(全類型に共通)

軽費老人ホームに共通する主な設備は以下の通りです。

設備項目

内容

居室

原則個室(6.6㎡以上)。プライバシーを確保した居住空間。

食堂・談話室

食事提供や入居者同士の交流を目的とした共用スペース。

浴室

入浴介助や安全性に配慮した構造。

洗面・トイレ

共用または居室内に設置。手すり付きで高齢者に配慮。

緊急通報設備

各居室・共用部に設置され、急変時に職員へ通報可能。

バリアフリー構造

段差の解消・手すり設置・車いす対応など。

健康管理室

健康チェックや医療連携を行う拠点。

※設備内容は施設の規模・設立時期によって異なります。


種類別の設備基準(A型・B型・ケアハウス)

種類

居室面積

構造・設備の特徴

A型

6.6㎡以上

食堂・浴室など共用。給食設備あり。緊急通報装置を設置。

B型

7.43㎡以上

自炊設備付き。個室に台所あり。共用部分は最小限。

ケアハウス(軽費)

単身14.85㎡以上、夫婦31.9㎡以上

原則個室。バリアフリー設計、食堂・談話室完備。

ケアハウス(特定施設)

同上

介護室・ナースコール設置、介護職員常駐スペースあり。

都市型軽費

7.43㎡以上

小規模(定員20名以下)。都市部立地で共用部を簡素化。


出典:・軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準(◆平成20年05月09日厚生労働省令第107号)

バリアフリー・安全対策

軽費老人ホームは、高齢者の生活動線に配慮したバリアフリー設計と安全対策が義務付けられています。

  • 居室・廊下・食堂・浴室などの段差解消
  • 廊下・階段・浴室への手すり設置
  • 緊急通報装置(ナースコール)の設置
  • 防火・避難設備(スプリンクラー・自動火災報知機)
  • 照明・温度管理設備の安全基準(ヒートショック防止など)


出典:有料老人ホームの設置運営標準指導指針について |厚生労働省
出典:高齢者向け住まいについて|厚生労働省

居住環境の工夫(ケアハウス・都市型)

ケアハウスや都市型軽費老人ホームでは、自立支援を重視した居住環境が整備されています。

  • 全室個室でプライバシーを確保
  • ミニキッチン・トイレ・収納付き居室
  • 共用部に食堂・浴室・多目的ホール
  • 段差ゼロ構造・エレベーター完備
  • 都市型では駅近や医療機関へのアクセスが良い立地

これにより、入居者が「自宅に近い生活」を維持しやすい環境が整っています。

生活支援を支える職員設備

利用者の生活支援を行うため、職員が常駐し、以下の設備を整備しています。

  • 事務室・相談室:生活相談や行政手続き支援の拠点
  • 職員休憩室・更衣室:常駐体制を維持
  • 倉庫・洗濯室:日用品や備品の管理
  • 地域交流スペース:地域住民との交流やボランティア活動の場

施設の種類・立地・建設時期によって仕様が異なるため、入居前には必ず見学・確認をしましょう。

左右から差し出される手の上に比較が置かれたイメージ
07

軽費老人ホームと特養・サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)・有料老人ホームとの違い

軽費老人ホームは、低所得の高齢者が生活支援を受けながら自立生活を続けられる公的福祉施設です。

一方、特別養護老人ホーム(特養)・サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)・有料老人ホームは、対象者・サービス内容・費用体系が異なります。

ここでは、制度上の位置づけと主な違いを比較します。

項目

軽費老人ホーム

特別養護老人ホーム(特養)

サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)

有料老人ホーム

法的根拠

老人福祉法

介護保険法
(介護保険施設)

高齢者住まい法

老人福祉法、介護保険法
(形態により異なる)

主な対象者

自立〜要介護の低所得高齢者

原則要介護3以上

自立〜要介護

自立〜要介護
(施設により異なる)

入居条件

所得要件あり
(非課税世帯中心)

要介護3以上
(例外あり)

原則60歳以上
(同居条件あり)

年齢・介護度・資産条件など施設ごとに異なる

提供サービス

食事・生活支援・相談援助など

介護・医療・生活支援

安否確認・生活相談中心
(介護は外部利用)

食事・生活支援・介護
(形態により異なる)

介護保険適用

外部サービス併用/特定施設型は包括提供

施設サービスとして適用

居宅介護サービスを外部利用

住宅型は外部、介護付は包括提供

居室設備

原則個室
(6.6㎡以上)

多床室または個室

原則個室
(25㎡以上)

個室中心
(形態により異なる)

月額費用目安

約6〜15万円

約8〜15万円

約10〜25万円

約15〜30万円

初期費用

原則不要
(敷金・礼金なし)

原則不要

敷金(数十万円)

入居一時金あり
(0〜数百万円)

運営主体

社会福祉法人・地方自治体

社会福祉法人

民間企業・自治体

民間企業中心

軽費老人ホームの位置づけ

軽費老人ホームは、「自宅では不安だが、介護施設に入るほどではない」高齢者を対象とした中間的な住まいです。


介護サービスは外部利用が基本ですが、食事・生活支援・相談援助を受けながら自立生活を維持できます。特定施設型(ケアハウス)では、要介護者も施設内で介護サービスを一体的に受けることが可能です。

特養(特別養護老人ホーム)との違い

特別養護老人ホーム(特養)は、常時介護を必要とする高齢者を対象とした公的介護施設です。

介護サービスを包括的に受けられる点が特徴で、終の住まいとして選ばれることが多いです。軽費老人ホームはこれよりも自立度が高く、生活支援を中心とした居住形態となります。

  • 目的:常時介護が必要な高齢者の長期入所施設
  • 入居条件:原則として要介護3以上
  • 費用:介護保険施設のため、介護費は保険給付対象
  • 特徴:介護職員・看護師が常駐し、医療連携も強い

軽費老人ホームは、より自立度が高く、「生活支援中心の住まい」として機能します。

出典:介護老人福祉施設 (特別養護老人ホーム)
出典:介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)- wam net

サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)との違い

サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)は、民間事業者が運営する賃貸住宅で、安否確認や生活相談など最小限の支援を受けながら暮らせます。

契約は賃貸借形式で、自由度の高い住まいが特徴です。軽費老人ホームは福祉施設としての支援体制を備え、所得に応じた費用設定が可能です。

  • 法的位置づけ:バリアフリー賃貸住宅
  • サービス内容:安否確認と生活相談が中心(介護は外部利用)
  • 自由度:契約は賃貸借方式で生活の自由度が高い

軽費老人ホームは福祉施設としての支援体制があり、所得に応じた費用設定が特徴です。

出典:サービス付き高齢者向け住宅 - 国土交通省
出典:サービス付き高齢者向け住宅の概要

有料老人ホームとの違い

有料老人ホームは、民間企業が運営する高齢者向け施設で、介護付・住宅型・健康型の3種類があります。

手厚いサービスが受けられる反面、入居一時金や管理費が高額になりやすい傾向があります。軽費老人ホームは公的支援のもと、初期費用を抑えつつ生活支援を受けられます。

  • 種類:介護付・住宅型・健康型の3タイプ
  • 費用:入居一時金・管理費が高額になる傾向
  • サービス:食事・清掃・介護など多様な支援

軽費老人ホームは初期費用が不要で、経済的負担を抑えたい方に適しています。

出典:有料老人ホームの概要
出典:有料老人ホーム

どんな人に軽費老人ホームが向いているか

  • 自宅での生活に不安があるが、介護施設にはまだ早い
  • 生活費を抑えつつ、支援や見守りを受けたい
  • 所得が少なく、市町村民税非課税世帯に該当する
  • 食事・生活援助を希望しつつ、一定の自立生活が可能
車椅子の高齢者夫婦が庭でくつろいでる
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軽費老人ホームの入居者の特徴

ここでは、厚生労働省が公表する「養護⽼⼈ホーム・軽費⽼⼈ホームについて」の資料をもとに、軽費老人ホームに入居している方の特徴を整理します。


軽費老人ホームには、自立生活が可能でありながら、経済的な不安や家族支援を受けにくい高齢者が多く入居しています。

要介護度は低〜中程度が中心で、認知症や生活保護受給者を含む多様な層が利用しています。

要介護度別の入居者構成

軽費老人ホームでは、自立・要支援レベルの入居者が多数を占めます。特にA型・B型では半数以上が「非該当〜要支援2」であり、日常生活の多くを自立して送ることができます。

施設種別

非該当・要支援(1〜2)

要介護(1〜5)合計

特徴

A型

約58.0%

約42.0%

自立傾向が強く、軽度介護中心

B型

約70.0%

約30.0%

自炊可能な比較的元気な層

ケアハウス(軽費)

約63.0%

約37.0%

自立中心だが、介護併用も可

ケアハウス(特定施設)

約35.9%

約64.1%

要介護中度〜重度が多い

出典:養護⽼⼈ホーム・軽費⽼⼈ホームについて|厚生労働省

障害自立度別の入居者構成

障害自立度では、A型・B型ともにJランク(自立〜軽度)が多く、身体介助を必要としない方が中心です。

一方、特定施設ではBランク(中等度)以上の割合が高く、介護付き住まいとしての機能を持っています。

施設種別

Jランク(自立)

A・Bランク(要介助)

特徴

A型

約72.0%

約28.0%

日常生活は概ね自立

B型

約67.0%

約33.0%

自炊・生活動作が可能

ケアハウス(軽費)

約64.0%

約36.0%

介助が必要な人も一定数

ケアハウス(特定施設)

約55.0%

約45.0%

介護付き住宅としての色合い

出典:養護⽼⼈ホーム・軽費⽼⼈ホームについて|厚生労働省

認知症高齢者の生活自立度別構成

軽費老人ホームの多くでは、I〜IIa(軽度)の認知症高齢者が中心です。特定施設では、IIIa〜IVといった中等度〜重度の方も一定数入居しています。

施設種別

軽度(I〜IIa)

中〜重度(IIb〜IV)

自立

特徴

A型

約48.0%

約44.0%

約8.0%

軽度認知症中心

B型

約67.0%

約19.0%

約14.0%

自立層が多い

ケアハウス(軽費)

約52.8%

約42.2%

約5.0%

介護併用型

ケアハウス(特定施設)

約45.0%

約48.0%

約7.0%

介護付きが中心

出典:養護⽼⼈ホーム・軽費⽼⼈ホームについて|厚生労働省

生活保護というタイトルの新聞
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軽費老人ホームは生活保護受給者も入居できる?

軽費老人ホームは、生活保護受給者も入居可能な公的福祉施設です。

もともと「経済的理由により自立した生活が困難な高齢者」を支援する目的で設立されており、低所得者や市町村民税非課税世帯、生活保護受給者の入居実績も多くあります。

入居費用や生活費は生活保護制度の各扶助によってまかなわれ、福祉事務所・施設・自治体が連携して契約・支払いを行います。
出典:都市型軽費老人ホームへ入所を希望する方へ | 中野区

生活保護受給者の入居が可能な理由

軽費老人ホームは老人福祉法第20条の6に基づく公的福祉施設で、経済的に困窮する高齢者を対象としています。

多くの施設で、入居一時金(敷金・礼金)が不要、月額費用は所得に応じて設定され、生活保護費の範囲内で利用可能です。

契約は本人と施設の直接契約ですが、福祉事務所や自治体が住宅扶助・生活扶助を通じて費用を負担し、施設への直接支払いが行われる仕組みです。

生活保護法第15条・第16条に基づく「住宅扶助」が適用されます。

生活保護でカバーされる主な費用

生活保護受給者が軽費老人ホームへ入居する場合、家賃や食費、介護費用などは生活保護制度の各種扶助によってまかなわれます。

主に「住宅扶助」「生活扶助」「介護扶助」「医療扶助」が適用され、自己負担を最小限に抑えた生活が可能です。以下に各費用の内訳と扶助区分を示します。

費用項目

扶助区分

負担方法

家賃・管理費

住宅扶助

上限額の範囲内で支給

食費・生活費

生活扶助

食材費・日用品費を含む

介護サービス費

介護扶助

要介護認定を受けた場合、公費で全額支給(自己負担免除)

医療費

医療扶助

医療機関受診時は全額公費負担

※運用は自治体により異なるため、入居前に福祉事務所・地域包括支援センターで確認が必要です。

入居までの流れ(生活保護受給者の場合)

生活保護を受給している高齢者が軽費老人ホームへ入居する際は、自治体や福祉事務所と連携して進めます。

住宅扶助や生活扶助などの支給可否を審査し、契約・費用負担の仕組みを整えることが必要です。以下は、入居までの一般的な流れです。

  1. 地域包括支援センターやケアマネージャーに相談
  2. 福祉事務所が住宅扶助・生活扶助の支給可否を審査
  3. 施設との面談・契約(保証人なしでも対応可能な場合あり)
  4. 契約後、生活保護費から施設へ直接支払い

一部の自治体では、虐待・孤立など緊急性の高いケースでは措置入所が行われることもあります。

出典:養護⽼⼈ホーム・軽費⽼⼈ホームについて|厚生労働省

実際の入居者構成データ

軽費老人ホームでは、生活保護受給者の入居も一定数存在します。

特にB型やケアハウスでは、家族支援が難しく経済的に困窮する高齢者の受け入れが進んでおり、住宅扶助・生活扶助の範囲内で利用可能な施設も多くあります。非課税世帯が多数を占め、長期入居が一般的です。

施設種別

非課税世帯割合

生活保護世帯割合

平均利用年数

A型

83.7%

約3.3%

5.1年

B型

81.4%

約11.0%

6.9年

ケアハウス(軽費)

72.8%

約1.9%

4.8年

ケアハウス(特定施設)

72.1%

約1.7%

4.2年

出典:第8回全国老人ホーム基礎調査報告書|公益社団法人全国老人福祉施設協議会
出典:養護⽼⼈ホーム・軽費⽼⼈ホームについて|厚生労働省

注意点と事前確認のポイント

  • 自治体ごとに住宅扶助の上限額が異なる
  • 施設によっては生活保護受給者の受け入れ枠を設定
  • 要介護状態の場合は、介護扶助を併用
  • 医療費・日用品などは扶助区分ごとに支給範囲が異なる

入居を希望する場合は、福祉事務所+施設の相談員+地域包括支援センターで三者連携し、費用と支援内容をすり合わせておくことが大切です。

バインダーに記入するフォーマルな服装の女性
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軽費老人ホームの申し込み〜入居までの流れ

軽費老人ホームの入居は、本人と施設との契約を基本としながら、自治体や地域包括支援センターとの連携を通じて進められます。

申し込みから入居までは、①相談・情報収集 → ②申し込み → ③面談・審査 → ④契約 → ⑤入居・支援開始という流れが一般的です。

所得や健康状態、介護度によって必要書類や支援の内容が変わるため、早めの相談が重要です。ここでは、一般的な申し込みの流れと、照会・紹介を通じて入居が調整されるケースについても紹介します。

入居までの全体フロー

  1. 相談・情報収集(自治体・包括支援センター)
  2. 施設へ申込(直接 or 紹介)
  3. 面談・審査(生活・健康・経済状況の確認)
  4. 契約・入居準備(費用・手続き確認)
  5. 入居・支援開始(生活支援・介護サービス併用)


出典:養護⽼⼈ホーム・軽費⽼⼈ホームについて|厚生労働省

ステップ① 相談・情報収集(自治体・包括支援センターへ)

まずは、お住まいの市区町村の高齢福祉課や地域包括支援センターで、入居条件や費用、空き状況を確認します。


所得状況や介護度によっては、福祉事務所や民生委員からの照会・紹介で入居が調整されることもあります。

主な相談先

  • 市区町村の高齢福祉課・福祉事務所
  • 地域包括支援センター
  • ケアマネジャー・医療ソーシャルワーカー

ステップ② 入居申込(本人・家族または紹介機関経由)

希望施設が決まったら、施設への申込書の提出を行います。紹介・照会を受けている場合は、自治体が申込書類の準備を支援するケースもあります。

提出書類の例

書類名

内容

入居申込書

施設指定の様式

所得証明書

市町村発行(前年分)

健康診断書

主治医または指定医療機関発行

介護保険証

要支援・要介護者のみ

生活保護受給証明

該当者のみ(福祉事務所発行)

申込後、施設で書類審査が行われ、面談日程が調整されます。

出典:入会申込み手続き | 入会案内 | 全国老施協について

ステップ③ 面談・入居審査

施設の職員が本人・家族と面談し、生活状況・健康状態・支援希望を確認します。
必要に応じて、医師意見書やケアマネジャーの情報提供も行われます。

主な確認内容

  • 日常生活の自立度・健康状態
  • 家族・保証人の有無
  • 介護保険サービスの利用状況
  • 経済状況・今後の希望

入居基準に合致すれば、契約手続きへ進みます。

ステップ④ 契約・入居準備

入居が決定したら、本人または家族と施設の間で利用契約を結びます。契約内容には、費用の内訳・支払方法・利用規約などが明記されます。

契約時の確認事項

  • 契約書の内容(入居条件・退去条件)
  • 月額費用(生活費・管理費・光熱費など)
  • 支払方法(口座振込・引き落とし)
  • 保証人の要否(困難な場合は自治体支援を検討)

ステップ⑤ 入居・支援開始

契約締結後、指定日に入居となります。入居後は、生活支援員・相談員が日常生活の支援や健康管理を行い、必要に応じて介護保険サービスを併用します。

主な支援内容

  • 食事・入浴準備・相談対応
  • 健康チェック・医療機関との連携
  • 介護保険サービスの導入支援(訪問介護など)
  • 定期面談による生活フォロー
大きく口を開けて笑いあう高齢の老夫婦
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軽費老人ホームのメリット

軽費老人ホームは、経済的負担を抑えつつ、生活支援や食事提供を受けながら自立生活を続けられる公的な居住福祉施設です。

「自宅での生活に不安を感じるが、介護施設には早い」という高齢者に適した中間的な住まいとして位置づけられています。ここでは、軽費老人ホームならではの6つのメリットを紹介します。

① 経済的負担を抑え、低所得者でも入居しやすい

軽費老人ホームは、所得に応じた費用設定が行われており、非課税世帯や生活保護受給者も対象です。入居一時金(敷金・礼金)は不要で、月額費用はおおむね6〜15万円前後が目安とされています。


生活保護の「住宅扶助」や「生活扶助」を利用することで、自己負担を最小限に抑えることも可能です。

経済的な理由で有料老人ホームやサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の利用が難しい方でも、安定した住まいを確保できる可能性があります。

② 食事や生活支援など、日常サポートが充実

A型やケアハウスでは、1日3食の食事提供に加え、入浴準備・見守り・生活相談など、日常生活を支える支援が整っています。


必要な部分だけサポートを受けつつ、自立生活を維持できることが特徴です。

サービス項目

内容の例

食事提供

栄養バランスを考慮した1日3食

生活支援

入浴準備、清掃補助、体調確認

相談援助

生活相談、介護サービス利用支援

緊急対応

体調変化時の職員対応・救急連携

③ 自立生活を尊重した住まい設計

軽費老人ホームは、「できることは自分で行う」という自立支援の考え方を重視しています。

居室は原則個室でプライバシーが保たれ、共用部には食堂や談話室を設置。施設ごとに次のような特徴があります。

類型

住まいの特徴

A型

共用食堂・浴室あり、生活支援付き

B型

自炊設備付きで自由度が高い

ケアハウス

全室個室・トイレ・ミニキッチン完備


自宅に近い生活スタイルを維持しながら、必要な支援だけを受けられる点が魅力です。

④ 要支援・要介護になっても暮らしを継続できる

軽費老人ホームは、要介護状態になっても外部の居宅介護サービスを併用可能です。

さらに、「特定施設入居者生活介護」の指定を受けたケアハウスでは、施設内で入浴・排せつ・食事介助などのサービスを包括的に提供します。

  • 訪問介護(ホームヘルプ)・通所介護(デイサービス)の利用可
  • 特定施設型では、介護職員常駐による一体的な介護提供

介護が必要になっても、住み替えずに生活を継続できる場合もあります。

⑤ 相談員・職員による生活支援体制

施設には、生活相談員・介護職員・栄養士などの専門職が配置され、日常の困りごとや健康面の不安に対応します。


また、医療機関や地域包括支援センターとの連携により、福祉制度の活用や受診支援もスムーズです。

  • 健康相談・通院支援
  • 福祉制度の申請・更新サポート
  • 地域交流・レクリエーション活動
  • 地域包括支援センターとの連携

孤立を防ぎながら、地域とのつながりを保てる環境が整っています。

⑥ 保証人なしでも相談できる場合がある

軽費老人ホームの中には、保証人を立てることが難しい高齢者にも対応する施設があります。
 

自治体や福祉事務所と連携し、契約や費用管理を支援する仕組みが整えられているケースもあります。

  • 成年後見制度の活用
  • 福祉事務所との連携による費用管理
  • 社会福祉法人による受け皿の提供

家族や身寄りが少ない方でも、自治体や福祉機関の支援を受けながら生活を開始できる仕組みが整えられています。

ベッドから遠くを見つめる男性
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軽費老人ホームのデメリット

軽費老人ホームは、費用を抑えながら自立生活を支援できる公的施設ですが、すべての高齢者に適しているわけではありません。


制度上の制約や設備面の特徴、介護体制の違いを理解しておくことが重要です。ここでは、入居を検討する際に注意すべき主なデメリットを整理します。

① 入居できる人数・施設数が限られている

軽費老人ホームは全国でも施設数が限られており、特に都市部では入居待ちが発生しているケースが多く見られます。

地域

傾向

都市部(東京・大阪など)

定員制限あり。都市型施設は20人以下が多い

地方都市・郊外

施設はあるが空室状況にばらつきあり

需要に対して供給が追いついておらず、申込みから入居まで数ヶ月〜1年かかることもあります。

② 入居条件に制限がある(年齢・所得・自立度)

軽費老人ホームは、自立または軽度の要支援者を対象としており、次の条件があります。

  • 原則として60歳以上
  • 家族などから日常的援助を受けることが困難
  • 所得が一定以下(非課税・生活保護世帯など)
  • 日常生活をおおむね自立して営める

要介護度が高い方や医療的ケアが必要な方は対象外となる場合があります。その場合は、特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームなどの利用を検討する必要があります。

③ 介護・医療体制が限定的

軽費老人ホームはあくまで生活支援を目的としており、常時介護や医療行為は提供されません。

  • 介護サービスは外部事業者の利用が前提
  • 夜間の人員体制が少ない施設もある
  • 医師・看護師が常駐しないケースが多い

介護が重度化した場合、特定施設型ケアハウスを除き、転居が必要になる可能性があります。

④ 居室・設備の自由度が低い

軽費老人ホームは公的基準に基づいたシンプルな設備が特徴です。

設備項目

内容

居室面積

約13〜20㎡(都市部ではさらに狭い場合も)

風呂・トイレ

共用が多い(ケアハウスは個室内設置もあり)

自炊設備

B型は自炊可、A型・ケアハウスは共用食堂

居住空間や自由度を重視する方には、やや物足りなさを感じる場合があります。

⑤ 夫婦・ペット同居には制限がある

軽費老人ホームは単身入居を前提としており、夫婦同居を希望する場合は対応可能な施設を探す必要があります。

  • どちらかが60歳以上
  • 一部のケアハウスなどに夫婦部屋あり
  • 空室状況により入居困難な場合も
  • ペット同居不可の施設が大多数

家族やペットと暮らしたい方には選択肢が限られる点に注意が必要です。

⑥ 施設によって運営方針・サービス内容に差がある

軽費老人ホームは、社会福祉法人・自治体・民間事業者など多様な主体が運営しており、以下のような違いがあります。

  • 食事の内容・回数
  • 生活支援の範囲
  • 職員配置体制
  • 行事・レクリエーションの頻度

同じ「軽費老人ホーム」でも実際の暮らしは異なるため、見学・相談を通じた比較検討が不可欠です。

パソコンを使用する高齢女性
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軽費老人ホームを探す方法

軽費老人ホームは、地域や施設の種類(A型・B型・ケアハウスなど)によって特徴が異なります。

希望に合った施設を見つけるには、公的機関の検索システムや地域窓口の活用が効果的です。ここでは、主な探し方と相談先をステップごとに整理します。

軽費老人ホームを探す際は、次の4ステップを踏むと効率的です。

  1. WAM NETで全国の施設情報を収集
  2. 自治体・地域包括支援センターで相談
  3. 協議会サイトで運営方針を比較
  4. 現地見学で生活環境を確認

① WAM NET(福祉医療機構)の検索システムを使う

独立行政法人 福祉医療機構(WAM)が運営する「WAM NET」は、全国の福祉施設を検索できる公的サイトです。

施設種別(軽費老人ホーム・ケアハウス)、所在地、運営法人名などで絞り込みが可能です。

検索手順

  1. WAM NET公式サイトへアクセス
  2. 「サービス提供機関の情報(高齢)」を選択
  3. 「軽費老人ホーム」を選択し、地域を指定
  4. 詳細ページで所在地・定員・連絡先・サービス内容を確認

特徴

  • 全国の公的・民間施設を網羅
  • 運営法人や定員、サービス内容を比較可能
  • 最新登録情報に基づいており信頼性が高い

② 市区町村の福祉課・地域包括支援センターに相談する

軽費老人ホームは自治体の管轄下で運営されており、入居条件や申込方法は地域によって異なります。最寄りの自治体窓口や地域包括支援センターに相談することで、次のような支援を受けられます。

サポート内容

  • 入居対象となる施設の紹介
  • 空室状況や申込受付の有無
  • 所得要件・費用負担の確認
  • 介護保険サービスとの併用相談

相談先の例

  • 市区町村の高齢福祉課
  • 地域包括支援センター

地域密着型の情報を得るには、まず自治体への相談することを推奨します。

出典:地域包括支援センターの手引きについて|厚生労働省

③ 全国軽費老人ホーム協議会の情報を活用

全国軽費老人ホーム協議会(全軽協)は、加盟施設の情報を公開しています。

ホームページでは、施設紹介・運営方針・加盟リストなどを確認でき、運営主体や理念を比較するのに役立ちます。

特徴

  • 加盟施設の一覧・連絡先を確認可能
  • ケアハウス・都市型軽費の情報も掲載
  • 公的運営施設を希望する方に最適


出典:施設一覧|一般社団法人 全国軽費老人ホーム協議会-全軽協-

④ 直接見学・問い合わせを行う

候補施設が決まったら、必ず現地見学・面談を行いましょう。公式情報だけでは分からない生活環境や職員の対応、入居者の雰囲気を確認できます。

見学時のチェックポイント

  • 居室や共用部の清潔さ・使いやすさ
  • 食事内容・栄養バランス
  • 職員の対応や入居者の表情
  • 緊急時対応や外出ルール
  • 介護・相談体制の有無
笑顔でたたずむ高齢女性
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まとめ

軽費老人ホームは、費用を抑えつつ自立した生活を続けたい高齢者に適した福祉施設です。公的制度に基づいて運営されており、入居一時金が不要で、食事提供や日常生活の支援を受けながら暮らせます。

ただし、入居条件(年齢・自立度・所得など)や提供サービスの範囲には制限があり、介護や医療が必要になった場合は別の施設への転居を検討することもあります。

入居後の生活を具体的にイメージするためにも、まずは自治体窓口や地域包括支援センターに相談し、自身に合った選択肢を確認することが大切です。

軽費老人ホームに関する

よくある質問

Q.軽費老人ホームとは何ですか?
A.

軽費老人ホームは、自立した生活に不安がある高齢者が、低料金で入居できる福祉施設です。

食事提供や生活相談などの支援を受けながら暮らせます。主に自立〜軽度の要支援者が対象で、介護が必要な場合は外部サービスを利用します。

Q.軽費老人ホームは何法?
A.

軽費老人ホームは、「老人福祉法」第20条の6に基づいて設置される福祉施設です。

高齢者の自立支援と生活の安定を目的としており、厚生労働省の基準に従い、社会福祉法人や自治体などが運営しています。

Q.軽費老人ホームで介護保険は使えますか?
A.

軽費老人ホームでは、介護保険サービスの利用が可能です。A型・B型・ケアハウス(軽費)では、訪問介護やデイサービスなどの外部サービスをケアプランに基づき併用します。

また、「特定施設入居者生活介護」の指定を受けたケアハウスでは、施設内で介護サービスを一体的に提供できます。

自己負担は1〜2割(所得により3割)で、生活保護受給者は公費負担となります。

Q.軽費老人ホームはいつできた?
A.

軽費老人ホームは、1963年(昭和38年)の老人福祉法施行により制度化されました。当初はA型・B型・ケアハウスの3類型があり、現在はケアハウスが主流です。都市型軽費も2010年から導入されています。

Q.軽費老人ホーム入居中に介護が必要になったらどうなる?
A.

軽費老人ホームでは、介護保険サービスを外部から導入して対応します。

ただし、要介護度が高くなると施設での生活が難しくなる場合もあります。必要に応じて、特養や介護付き有料老人ホームへの転居を検討します。

Q.軽費老人ホームは夫婦で入居できる?
A.

原則は単身入居ですが、施設に夫婦部屋がある場合や、どちらかが60歳以上の条件を満たせば、夫婦で入居可能なケースもあります。ただし、定員や空室状況により受け入れが難しい場合もあります。

Q.軽費老人ホームは生活保護でも入れる?
A.

生活保護受給者も軽費老人ホームに入居可能です。制度上、無料または低額な料金で利用できる仕組みがあり、生活保護費の範囲内で入居できる施設もあります。

実際に、東京都など一部自治体では生活保護受給者を対象とした募集例もあります。

ただし、受け入れ可否や費用の扱いは施設ごとに異なるため、事前に自治体や施設へ相談することが必要です。
出典:都市型軽費老人ホームへ入所を希望する方へ | 中野区

Q.軽費老人ホームの申し込みに必要な書類は?
A.

軽費老人ホームの申し込みに必要な書類は、入居申込書・収入申告書・課税証明書・健康診断書などです。

施設や自治体により異なりますが、所得や健康状態の確認が必要です。詳細は、希望する施設または自治体窓口で確認しましょう。

出典:軽費老人ホーム 高齢・介護|wamnet
出典:軽費老人ホーム(ケアハウス) 入居お申し込み時必要書類

Q.軽費老人ホームに入る条件は?
A.

軽費老人ホームは、60歳以上で自立生活が可能な高齢者が対象です。家族による援助を受けにくく、経済的な理由で生活支援を必要とする方が入居できます。

所得制限があり、市町村民税非課税世帯や低所得者が中心です。介護が必要な場合でも、外部サービスを利用すれば入居できます。


出典:・軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準(◆平成20年05月09日厚生労働省令第107号)
出典:軽費老人ホーム 高齢・介護|wamnet

Q.軽費老人ホームの月額費用はいくらですか?
A.

軽費老人ホームの月額費用は、約4万〜15万円前後が目安です。A型は6.5万〜15万円、B型は約4万円、ケアハウスは9万〜15万円前後、都市型も同程度です。

費用は「生活費・サービス費・居住費」の合計で、所得に応じて設定されます。

介護保険を利用する場合は、別途自己負担が必要です。※生活保護者は公費負担可

出典:令和4年社会福祉施設等調査の概況|厚生労働省
出典:軽費老人ホームに関する情報 - 福島県ホームページ
出典:高 事 第 1547 号 令和7年7月 16 日 各軽費老人ホーム設置者 様 大阪府知事 吉村 洋文 軽費老

Q.軽費老人ホームと養護老人ホームの違いは何ですか?
A.

軽費老人ホームと養護老人ホームは、支援体制や入居手続きが大きく異なるポイントです。

軽費老人ホームは、自立した生活ができる高齢者向けで、契約により入居します。一方、養護老人ホームは、心身や経済状況により家庭での生活が困難な方を対象に、市町村の措置(行政の決定)で入所します。

Q.軽費老人ホームは別名何と呼ばれていますか?
A.

軽費老人ホームは、老人福祉法に基づく施設の制度区分です。その中の一類型として位置づけられているのが「ケアハウス(軽費老人ホームC型)」です。

軽費老人ホームには、A型・B型・C型があり、このうちC型が一般的に「ケアハウス」と呼ばれています。

ケアハウスは、比較的自立した高齢者を対象に、低額な費用で住居と生活支援サービスを提供する施設です。

なお、「ケアハウス(特定施設)」とは、介護保険法上の特定施設入居者生活介護の指定を受けたケアハウスを指し、あくまで軽費老人ホーム(C型)の中で、介護サービス提供体制を備えたものという位置づけになります。

出典:一般社団法人 全国軽費老人ホーム協議会

執筆者

[介護サーチプラス]編集部

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介護業界に特化した情報を発信するオウンドメディア。
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